訪問介護事業所、5割が減収 原因は「ヘルパー不足」 労組調査

2025/04/25 20:01 

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 4月に介護報酬が改定された2024年、訪問介護事業所の5割超が前年に比べ減収したとの調査結果を、介護従事者の労働組合「日本介護クラフトユニオン」(NCCU)がまとめた。ヘルパー不足が主な原因として挙げられており、染川朗会長は談話で「介護従事者不足を解消するために、処遇のさらなる改善を早急に行う必要がある」と指摘している。

 調査は14~21日、同組合員を対象に実施した。訪問介護事業所の管理者596人とケアマネジャー470人の計1066人から回答を得た。

 事業所の収入は、管理者が回答し、24年に収入が前年から減ったのは、55・2%に上った。「一番の減収理由」を聞いたところ、73・3%が「ヘルパーの人手不足で、依頼があっても受けることができなかったため」と答えた。ケアマネジャーからも「訪問介護事業所の人手不足で、必要とされるケアプランが組めないことがある」との回答が68・3%に上った。

 昨年4月の介護報酬改定では、訪問介護の基本報酬が引き下げられた。厚生労働省の調査でも、訪問介護事業所の56・8%が前年に比べて減収しているという結果が出ている。

 ただ、厚労省は減収の理由を利用者の減少や、新規事業者の参入と分析している。今回の調査結果とは異なる見解で、染川会長は「必要なサービスを受けられない実態は、介護保険制度の根幹を揺るがす事態。危機感を持って解消に向け取り組むべきだ」と訴えている。【寺原多恵子】

毎日新聞

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