新生児取り違え訴訟、判決確定へ 男性「両親に会えると期待」
1958年に東京都立墨田産院(88年に閉院)で起きた新生児の取り違えを巡る訴訟で、東京都の小池百合子知事は25日、原告である江蔵(えぐら)智さん(67)の実の親を調査するよう命じた東京地裁判決を受け入れ、控訴を断念すると発表した。江蔵さん側も控訴しない方針で、判決が確定する。小池氏は「多大な心痛をおかけしたことを深くおわびする」と謝罪。江蔵さんは「(これから)一日、一日と両親に会えるという期待が膨らむ」と涙をにじませた。
小池氏は午後2時の定例記者会見で「長年苦しんでこられた状況、心情は察するに余りある。育てのお母様もご高齢だ」と判断理由を説明した。一方、21日の判決が出自を知る権利を憲法が保障する法的利益と認めたことについて「どう対応すべきか法整備がされていない。国は早急に議論を進めるべきだ」と求めた。
都保健医療局によると、局内では「行政機関としての実務にも影響を及ぼすので、高裁に法的判断を求める」との声もあったというが、25日午前、小池氏が控訴しないと判断した。わずか4日での判断に、同局幹部は「迅速な判断に正直、驚いた」と明かす。
都は江蔵さんと同時期に墨田産院で生まれた可能性がある男児を把握しておらず、今後、戸籍情報を基に調べられるかなど調査方法を国や墨田区と調整する。取り違えられた可能性がある男児が分かった場合、DNA型鑑定への協力を依頼するという。
都内で記者会見した江蔵さんは小池氏の発表をインターネットで見たとし、「来週中にでも調査方法をまとめてほしい」と語った。
江蔵さんには午後2時前、代理人弁護士から「都が控訴しないそうだ」と電話がかかってきた。都には前日に控訴しないよう申し入れたが、回答はなかった。控訴期限の5月7日までまだ時間があっただけに、突然の知らせに驚き、「ほっとした」と振り返った。
取り違えは2006年に東京高裁で認められたが、都は調査を拒み続けた。江蔵さんは「この20年間、都からは相手にされなかった。控訴しないことになった経緯も知りたい」と話した。生みの親は既にかなり高齢になっている可能性が高いと感じている。「この20年という月日がものすごく悔しいですね」と涙した。
代理人の海渡雄一弁護士は「出自を知る権利はこれまで日本で法制化されていなかった。憲法と国際人権法で保障されている権利だと示した判決が確定する意義は大きい」と語った。【柳澤一男、安元久美子】
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