昭和にタイムトラベル 熱海のホテル、レトロ企画で宿泊客がV字回復

2025/04/27 12:15 

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 熱海の老舗リゾート「ホテルニューアカオ」が今年を「昭和100年」と捉えた企画を次々と展開し、注目を集めている。新型コロナ禍に一度営業を終えたが、開業時の豪華な施設を「昭和レトロ」と捉えて2年前に復活。昭和の日の29日からはファミコンやラジカセ、黒電話などを備えた客室を一部屋設け、若者から高齢者まで「昭和にタイムトラベル」する一夜を提供する。

 同ホテルは1973年に開業。2021年11月の営業終了後、隣地の系列ホテルとともに米投資会社が経営を引き継いだ。シャンデリアが輝くダンスフロアや座席数496席を誇るメインダイニングなど昭和の豪華な施設が人気で、24年の宿泊客数はコロナ禍前の2割増とV字回復を果たしている。

 29日から提供する客室は1970年代の趣味の部屋がコンセプトで、12畳もあるジュニアスイートの和室を「昭和夜ふかしルーム」と銘打つ。実際にファミコンを楽しんだりレコードを聴くことができる。アイテムは業者に依頼する以外にも従業員が実家から持ってくるなどして集めた。

 同ホテルは今年1月から様々な企画を展開している。フロントロビーには貸し出し用にレコードプレーヤーやラジカセ、ボードゲームなどが並ぶ。バブル期にディスコではやった女性の「バブル衣装」の貸し出しや昭和の居間をイメージした部屋も再現。宿泊客や日帰り入浴客が「映え」写真を撮影し、SNS(交流サイト)に投稿できるよう工夫を凝らしている。

 飲食スペースのある1階「にぎわい横丁」には、昭和元年創業の静岡発の駄菓子屋「あまのや繁田商店」監修で駄菓子店をオープン。20~60円を中心とする駄菓子や玩具200点が並び、想像以上の売れ行きだという。

 埼玉県草加市から祖母(81)と宿泊した20歳と17歳の兄妹は「新しい感覚。写真を撮るのが好きなので来ました」。日帰り入浴にきた東京都目黒区の64歳と63歳の夫婦は「今風に言うと『エモい』ですね。懐かしい」と来館者の思いはさまざまだ。昭和夜ふかしルームは7月13日、バブル衣装は6月30日まで。【若井耕司】

毎日新聞

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