希望のニュースを配信「ホピアス」創刊 「未来を照らす」メディアに

2025/04/27 13:00 

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 戦争や災害のニュースが耳目を集める現代だからこそ、希望のニュースを発信したい――。そんなウェブメディア「HOPIUS(ホピアス)」を市民有志が創刊した。福島市のジャーナリストも執筆陣に加わり、東日本大震災からの復興に尽力している人々や、社会正義を目指した世界の政治家らの記事を配信して「人類の希望の未来を照らす」メディアを目指している。

 ホピアスは、共同代表の柳澤芙美さん(42)と奥祥弓(よしゆみ)さん(36)=ともに神奈川県=が3月に正式に創刊した。2人は、さまざまな技能をネット上で売買するスキルマーケットの大手「ココナラ」(東京都)の元同僚で、柳澤さんは広報担当として報道に接する中で「事件やスキャンダルなど不安をかき立てられるニュースが多い」ことに心を痛めていたという。

 特に、柳澤さんの家族がうつ病で休職し、さらに新型コロナウイルス禍も重なったことが影響した。家族は「ネットで情報を探してもネガティブなニュースばかりで不安に襲われた」と打ち明けた。

 ココナラなどが導入している「シェアリングエコノミー」(共有型経済)は、個人の能力や知見、資産をネットを介して共有する。「前向きな力を集めれば一人ではできなかったことができるようになった。そんな行動や思考が広がっていくような、希望のあるニュースだけを発信するメディアがあっていい」と、24年11月に運営会社を起業した。

 配信するのは、柳澤さんや、親交のある福島市のジャーナリスト、藍原寛子さん(57)ら執筆陣によるオリジナルの記事と、他のメディアから「ワクワクして希望を持てるような、行動やアイデアが引き起こされるか」という視点でキュレーション(選別)して価値を強調した記事だ。

 編集方針を貫くため、収益モデルはネット上の無料百科事典「ウィキペディア」のように寄付を中心とする。初期費用はクラウドファンディングで141万円が寄せられた。今後もビジョンに共感するサポーターを募り「ユーザーと共創するメディア」を目指す。

 藍原さんは、生活が苦しい家庭の子どもたちの食事代を有志の客が飲食店に先払いする「お互いさまチケット」を発案したNPO法人「チームふくしま」(福島市)の記事を配信。「世界が大変な状況の中で、皆で助け合ってつながっていこうと思ってもらえるような、視点を変えられる記事や言葉を発信していきたい」と話す。

 詳細はホピアス(https://hopius.jp/)へ。【錦織祐一】

毎日新聞

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