花粉症が軽減? 「ピンクソルト」の魅力に迫る万博・パキスタン館

2025/05/01 09:54 

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 床から柱のようなオブジェまで、ほぼ全てがピンクの岩塩で覆われている。まるで洞窟のような異空間が、大阪・関西万博の会場にある。複数国が出展している「コモンズD」の一角に設けられた「パキスタン館」は、入場待ちの行列が絶えない人気スポットだ。「きれい」や「癒やされる」という声に加え、「花粉症に効くかもしれない」と一部でささやかれているという。どういうことだろう。

 パキスタンは当初、各国が独自にパビリオンを建設する「タイプA」での出展を目指していたが、規模を縮小し、共同入居型の「タイプC」へと移行した。今回、その限られた空間を全面的に同国の特産品であるピンクの岩塩「ピンクソルト」約12トンで埋め尽くし、「一粒の塩の中に広がる宇宙」をテーマに「塩の庭」を仕立てた。

 実は、パキスタンは世界有数の岩塩の生産国だ。東部パンジャブ州には、岩塩を含む山脈「ソルトレンジ」が約300キロにわたって連なり、鉄分を多く含むピンクソルトの一大生産地となっている。中でも、地下坑道「ケウラ岩塩坑」は観光地としても知られ、坑内にはモスクの他、ヨーロッパなどにも伝わる伝統的な岩塩療法「ハロセラピー」のための施設もあるという。

 今回、パキスタン館には現地のハロセラピーを再現したブースも設けられた。ピンクソルトを串刺しにしたような2メートル近い柱に囲まれる中、壁に設置された穴から、50分ごとに塩分を含んだ蒸気が噴射される仕組みだ。

 ハロセラピーに関する研究は少なく、科学的根拠が不明な部分も多いが、現地ではぜんそくなどの呼吸器疾患に効果があると信じられている。パキスタン館を訪れた人の中には、蒸気を吸って「花粉症の症状が軽くなった気がする」と話す人もいるという。

 パキスタン館の広報責任者、アディル・ムフタルさん(28)は「パキスタンの人々にとって、ピンクソルトは国の誇り。多くの人たちにピンクソルトの可能性を知ってほしいし、ぜひリラックスしに来てほしい」と笑顔で話している。【中村園子】

毎日新聞

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