大阪市西成区で下校中の小学生に乗用車が突っ込み７人が重軽傷を負った事件で、殺人未遂の疑いで逮捕された矢沢勇希容疑者（２８）が運転していたとみられる車が、１人で下校する児童や大人は素通りしていたことが付近の防犯カメラの映像などから判明した。「数人の小学生をひき殺そうとした」と話しており、大阪府警は容疑者が子どもの集団を探していた可能性があるとみて当日の行動を調べている。

　矢沢容疑者は大阪市西成区にある市立千本小学校前の路上で１日午後１時半すぎ、下校中の児童７人を殺害しようとレンタカーではね、重軽傷を負わせた疑いが持たれている。容疑を認めており、府警は供述の裏付けを進めている。

　毎日新聞が入手した防犯カメラ映像や捜査関係者によると、現場から北西約１００メートルにあるカメラには事件の約１分前、容疑者が運転していたとみられる白色のスポーツタイプ多目的車（ＳＵＶ）が映っていた。

　この時には、それぞれ１人で下校する児童２人が歩いていたが、車はそのまますれ違って東方向に走り去っていた。その少し前には、自転車に乗った大人を避けるようにして進む車の様子も学校近くの別の防犯カメラに記録されていた。

　千本小はこの日午前で授業を終え、事件があった時間帯は正門前の一方通行の市道を多くの児童が歩いていた。

　矢沢容疑者の車はこの市道を低速で蛇行しながら進み、児童の列をめがけて突っ込んでいった。はねられた７人は２人が重傷、５人が軽傷。容疑者は「全てが嫌になり、人を殺そうとした」と供述しており、府警は集団を狙うことで多くの児童に危害を加える意図があったとみている。

　容疑者は東京都東村山市に住んでおり、捜査関係者によると大阪に地縁や土地勘はなかったとみられる。容疑者の父親も「なぜ大阪で事件を起こしたのか心当たりがない」と話しており、府警は来阪の目的や千本小の児童を標的にした経緯を調べている。【斉藤朋恵、大坪菜々美、川地隆史】