漫画の災害予言→旅行中止相次ぐ 作者たつき諒さん「前向き」の真意
2025年7月に、日本で大災害が起きる――。
科学的根拠のないそんな「予言」が香港人の間で広がり、日本への旅行を取りやめる動きが相次いでいる。
国内でも地震や津波が来るといった同様の情報が交流サイト(SNS)や動画投稿サイトなどで流れており、旅行中止を検討するような投稿も目立つ。
情報源の一つとなっているのが、21年に出版された漫画家・たつき諒さんの作品「私が見た未来 完全版」(飛鳥新社)だ。
毎日新聞がたつきさんを取材すると、予言した本人も冷静な対応を呼び掛けた。
◇香港便が減便に
香港の航空会社「グレーターベイエアラインズ」は4月、5月12日から10月25日までの間、仙台便を週4便から3便に、徳島便を週3便から2便に減らすと発表した。
同社は、7月に日本で大災害が発生するとの情報が流れ、需要が急減していると判断。米トランプ政権の関税措置で経済状況が不透明感を増していることも勘案し、減便に踏み切った。
担当者は取材に、「顧客への聞き取り調査の結果、情報を信じる度合いがかなり高いことが分かった。香港では風水を信じる人が多く、文化の違いもあるだろう。赤字便が増えることは避けたく、やむを得ず減便とした」と打ち明けた。
◇東日本大震災を予言?
たつきさんの作品では、本人の予知夢の体験などが描写されており、本の帯には「本当の大災難は2025年7月にやってくる」と書かれている。
作品の中では、「大災難の夢を見ました。日本列島の南に位置する太平洋の水が盛り上がる」などと描かれている。
作品は1999年、現在は解散している別の出版社から刊行され、絶版となっていたが、新たな要素を加えて再編集する形で飛鳥新社から出版された。飛鳥新社によると、現在、計96万部を超える大ヒットとなっており、香港などでも発行しているという。
作品が注目を集めているのは、絶版本の表紙に「大災害は2011年3月」と書かれていたためだ。
20年ごろになって、テレビや動画投稿サイトで絶版本が「東日本大震災を予言していた」と取り上げられ、フリマアプリなどで数十万円で取引されるようになった。その後、飛鳥新社がたつきさんに復刻版の出版を打診したという。
◇「解釈は自由、ただ適切に」
旅行取りやめなどの影響について毎日新聞が見解を尋ねると、たつきさんは「私はあくまで客観的に受け止めております」と文書で回答した。
そのうえで、「皆様が高い関心をお寄せいただいていることは、防災意識が高まっている証拠であり、非常に前向きに捉えております。この関心が安全対策や備えにつながることを願っております」などとコメントした。
一方で、予知夢に関する情報が拡散されていることについては「解釈については皆様の自由な判断に委ねられるべきものと考えております。ただし、過度に振り回されないように、専門家の意見を参考に、適切に行動していただくことが大事であると思います」とした。
◇専門家「ファクトチェックを」
飛鳥新社も「当社が出版する同書籍は、著者が見た予知夢に基づく内容であり、決して皆様にいたずらに不安をあおることを意図しているものではありませんが、災害等の事象に関しては、専門家のアドバイス等を踏まえて、慎重かつ適切に対応することが重要であると考えております」と重ねて呼び掛ける。
信州大地域防災減災センター長の菊池聡教授(認知心理学)は「情報のファクトチェックをし、立ち止まって考える。外出や観光を控えるのではなく、日常から災害に備えつつ、普段と変わりない生活を維持することが重要です」と話している。【松山文音】
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