天台宗性被害 「意に反した行為でない」 処分受け元住職側が会見

2025/05/22 09:55 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 四国地方の天台宗の寺で性暴力を受けてきたとする尼僧の告発を受け、天台宗務庁(大津市)の審判で「罷免」とされた60代元住職と「処分に該当しない」とされた80代大僧正の代理人弁護士が21日、大阪市内で記者会見を開いた。元住職も同席し、「意に反した性行為」や「心理的監禁状態の継続」が起こる関係ではなかったことを弁護士が説明した。元住職らの記者会見は今回が初めて。

 代理人弁護士によると宗派の審理局審判で、元住職には「性暴力があったとは認められなかった」が、「約10年にわたり(結婚している)相手方と夫婦同然の生活を続けたことは僧侶としての本分を忘れた行為」として罷免となった。4月16日に処分が確定した。

 また、尼僧側が「最初の強姦(ごうかん)被害」とした出来事については「相手から誘われた」と状況を説明。元住職は2019年に尼僧から刑事告訴され容疑不十分で不起訴になった経緯があったが、再び尼僧が寺に戻ったのは「戻りたいと懇願された」ため。金銭的支援も長く続けたと述べた。

 元住職は「宗教者や信者の方々に多大なご迷惑をおかけしたことを心よりおわび申し上げます」と話し、大僧正を含めて信者らに対する説明として会見開催に至ったと説明した。双方の主張がまったく異なるため、名誉毀損(きそん)など提訴の意向の有無を記者から問われた元住職の代理人弁護士は「僧侶は人を助けるのが役目であり考えていないと(元住職は)言っているが、相手が提訴してきたら検討する余地はある」とした。【岸桂子】

毎日新聞

社会

社会一覧>