震災時のフラガール、1日限りの復活へ 「感謝伝えたい」 福島

2025/06/01 12:15 

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 東日本大震災の直後、「全国きずなキャラバン」として巡業したフラガールが帰ってくる――。福島県いわき市の温泉施設「スパリゾートハワイアンズ」が14年前の震災で半年間の休業を強いられた際、各地を巡業した当時のメンバー15人が再び集まり、10月18日、「復活きずなキャラバン『フラガールOG公演』」として1日限りの舞台に立つ。レッスンを始めたメンバーは「感謝の気持ちを伝えたい」と、息の合った踊りを見せた。

 「久しぶりだねえ。皆、いい顔して」。再結集したメンバーの前で、踊りを指導する常磐音楽舞踊学院の最高顧問、カレイナニ早川さん(93)がほおを緩めた。今回の公演のために準備したという最新トレンドの動きを入れた踊りを自ら大きな身ぶりで示すと、OGたちもスッとのみ込み、流れるような動きを披露した。

 公演は、創業60周年を迎える来年に向け、年間を通して繰り広げている企画「ハワイアンズ還暦祭」の一環だ。メンバーは2019年に同様の公演を行っており、6年ぶりに再集結した。

 震災当時のフラガールのメンバーは23人。施設が休業する中、キャラバンは11年5月3日、いわき市の避難所訪問から始まった。同21日からは初の県外公演として東京・新宿で舞台に立ち、その後も東北各地や、阪神大震災を経験した神戸市をはじめ、10月までに26都府県、韓国・ソウルを含め125カ所、247回の公演をこなした。

 当時のリーダーのマルヒア由佳理さん(42)=いわき市=は「自分たちも被災していたけど、私たちができること、伝えられることをやろうとの思いで回っていた。行く先々で本当にたくさんの温かい声をいただき、それがパワーになった」と振り返る。

 現在はいわき市を拠点にフラの教室を開いているマルヒアさん。10月のステージに向けては「時がたち、またあのステージで同じメンバーと踊れることに感謝しています。再び踊るチャンスをくれた関係者にその思いを伝えたい」と意気込む。

 「苦楽を共にした子たち」と温かいまなざしを向けるカレイナニ早川さんも「震災体験でメンバーは気持ちが一つになり、キャラバンで成長して大人になった」と話し、「大勢のお客様に元気と希望を与えようという意識で踊ってくれれば」と期待した。【柿沼秀行】

毎日新聞

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