東電旧経営陣の13兆円賠償取り消し、法廷に怒号 株主側は上告へ

2025/06/06 12:39 

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 東京電力福島第1原発事故を巡る株主代表訴訟の控訴審判決で、東京高裁は6日、旧経営陣に13兆円超の賠償を命じた1審判決を取り消した。原告の株主側を逆転敗訴とする主文に傍聴席からはどよめきが起き、判決理由を読み上げる木納敏和裁判長に対し「おかしい」「不合理だ」と怒号が飛んだ。

 言い渡しが終わると、株主側が東京高裁前で「不当判決」と書かれた旗を掲げ、集まった支援者らからは「悔しい」「支離滅裂だ」と大きな声が上がった。株主側代理人の河合弘之弁護士は「残念。(論理が)矛盾した判決だ」と語った。株主側は上告する方針。

 原告の一人、木村結さん(72)は「怒りに震えている。上告するつもりなので、まだまだ闘いは続く」と話した。

 高裁判決は、旧経営陣に10メートルを超える巨大津波が襲来する切迫感を抱くに足りる事情はなかったとし、「予見可能性があったとは認められない」と賠償責任を否定した。

 1審判決は、東電が事故後に負担した廃炉・汚染水対策▽被災者に対する賠償▽除染・中間貯蔵対策費用――から賠償額を算出し、勝俣恒久元会長(2024年10月に死去)と清水正孝元社長、武藤栄、武黒一郎両元副社長――の4人に連帯して約13兆円を賠償するよう命じていた。【安達恒太郎、安元久美子】

毎日新聞

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