厚労省と面会も「ゼロ回答」に原告怒り 生活保護減額違法判決受け

2025/06/30 19:19 

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 2013~15年に生活保護費を最大10%減額した厚生労働省の措置を違法とした最高裁判決を受け、訴訟の原告団が30日、厚労省の担当者と面会し、判決当日に要請した国の謝罪と被害回復などへの回答を求めた。担当者は「謝罪も含め判決の内容を精査して対応を検討したい」と繰り返し、原告らからは怒りの声が上がった。

 6月27日の最高裁判決は、13年度の生活保護費減額の根拠の一つとなった、物価下落率を反映させる「デフレ調整」を違法と判断、減額決定を取り消した。

 原告らは厚労省に対し、全ての受給者への真摯(しんし)な謝罪▽13年度改定前の基準との差額をさかのぼって支給▽連動する諸制度への影響調査と被害回復――などを求める要請書を提出。原告団によると、厚労省は持ち帰って対応を検討するとしていたが、30日の面会でも「ゼロ回答」に終始したという。

 面会後に記者会見を開いた原告や弁護団は、「厚労省は判決の重みが分かっていない」などと厚労省の姿勢を批判した。弁護団の西山貞義弁護士は「最高裁判決で生存権の侵害があったことが確定しているのに、謝罪をしないという選択肢があるのか」と怒りをあらわにした。

 原告団は今月7日にも2回目の交渉の場を設け、要請内容の実現に向けた基本合意書の締結を求める。【肥沼直寛】

毎日新聞

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