海外の火山噴火で日本に津波が? 3年前の教訓生かす気象庁

2025/07/09 17:21 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 インドネシアの火山で7日に大規模な噴火が起き、気象庁は日本に津波が来るかどうかを調べると発表した。この時は津波は確認されなかったが、海外の火山噴火で津波が日本まで到達することがあるのだろうか。

 東京から約5000キロ、首都ジャカルタから東に約1800キロ離れたインドネシア・フローレス島。この島のレウォトビ火山が7日午後0時10分ごろに噴火した。噴煙はおよそ19キロの高さまで上がった。

 気象庁は7日午後1時半ごろ、津波の有無を調べると発表。仮に津波が発生して到達するとしたら、早ければ沖縄で午後3時半ごろとの予測も公表した。X(ツイッター)のトレンドには「大規模噴火」が入り、関心の高さをうかがわせた。

 この火山は昨年11月以降に大規模噴火が連続している。日本に影響を及ぼしたことは一度もなかったが、気象庁は昨年11月、3月、6月にも同じく津波の有無を調べると発表して注意を呼びかけた。

 大規模な噴火が起きると、噴火に伴う空気の振動で「気圧波」が生じ、それが海面に伝わって津波が発生することがある。

 気象庁は、津波を引き起こす気圧波の中で最も早い「ラム波」の速度(秒速約300メートル)をもとに、日本への津波到達時刻を算出する。

 その後、遅れてゆっくりと伝わる「大気重力波」が日本を通り過ぎた時点で津波の到達がなければ、「影響なし」と発表する。

 この発表の仕組みは、3年前の事例を教訓としている。

 2022年1月15日午後1時ごろ、東京から約8000キロ離れた南太平洋のトンガ沖で海底火山が噴火した。

 気象庁は「若干の海面変動が予想されるが、被害の心配はない」と説明した。ところが、日本に津波が到達したため深夜に一転して19都道県に津波警報・注意報を発表。自治体の間には、避難指示を出すべきかどうか混乱が広がった。

 そこで気象庁は情報発信のあり方を見直し、火山噴火に伴う「潮位変化」の呼び方を「津波」に統一した。噴煙の高さが15キロ以上となる大規模噴火が起きたら、津波の有無を調べ、到達予想時刻を発表することにした。

 こうした大規模な噴火が起きるのは1年間に4回程度で、日本まで到達する津波が発生するのは珍しいという。

 地震津波防災推進室は「津波の有無を調査すると発表があってもすぐに逃げる必要はないが、避難経路をイメージするなど備えを確認する機会にしてほしい」としている。【最上和喜】

毎日新聞

社会

社会一覧>