京アニ放火殺人事件6年 第1スタジオ跡地で遺族ら150人が追悼

2025/07/18 12:21 

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 36人が犠牲になった2019年の京都アニメーション放火殺人事件の発生から6年を迎えた18日、現場の第1スタジオの跡地(京都市伏見区)で追悼式があった。遺族やスタッフら約150人が参列し、犠牲者に思いを寄せた。

 式は事件後、更地となったスタジオ跡地に設置されたテント内で非公開で営まれた。事件が発生した午前10時半ごろから始まり、冒頭に黙とうをささげた。

 事件で娘が犠牲になった遺族の一人は「6年がたちますが、あの日のことは今も忘れることはできません」と無念の気持ちを述べた。京アニ作品が今も多くの人たちの心を動かしていると伝え、「あなたたちが生きた意味が確かにあったのだと誇りに思います」と語りかけた。

 同社のスタッフの一人は「心のもやがかかったまま、何とか前にという気持ちで一日一日を積み重ねています」と率直な心境を語り、「皆さんからいただいた志を作品を通してこれからもつなげていきます」と誓った。

 その後、参列者らが献花台に花を手向けた後、八田英明社長があいさつ。事件後に11作品を発表したことを報告し、「心を一つにして恥ずかしくない作品を作り続けたい」と語った。

 京アニは、6月に劇場作品「小林さんちのメイドラゴン さみしがりやの竜」、7月にはTVシリーズ「CITY THE ANIMATION」を世に送り出した。同時期に2作品を公開したことについて、同社の代理人は「制作能力にある程度の余力がないとできない。会社の体力が戻ってきている」としている。

 事件は19年7月18日午前に発生。青葉真司死刑囚(47)が第1スタジオにガソリンをまいて放火し、従業員ら36人が死亡、32人が重軽傷を負った。24年1月に死刑判決を言い渡され、控訴していたが25年1月に自ら取り下げ、1審の判決が確定。しかし弁護人が取り下げを無効とするよう申し立てており、大阪高裁が今後取り下げの有効性を判断するとみられる。【水谷怜央那、資野亮太】

毎日新聞

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