燃料デブリの本格取り出しに遅れ 「30年代初頭」から「37年以降」

2025/07/29 16:18 

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 原子力損害賠償・廃炉等支援機構の小委員会は29日、東京電力福島第1原発で溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の本格的な取り出し開始時期について、2037年以降になるとの見通しを明らかにした。東電の計画では30年代初頭としていたが、着手が大幅に遅れることになる。51年までとしている廃炉完了の時期も、後年にずれ込む可能性が高いことが浮き彫りになった。

 燃料デブリの取り出しは廃炉の最難関とされる。東電は24年11月、福島第1原発2号機から0・7グラムを試験的に回収した。しかし、デブリは1~3号機に計880トンも存在している。東電は本格的な取り出しを3号機から始める計画で、原賠機構などと取り出しに向けた工法を検討している。

 機構はこれまで、水をかけ流しながら空気中で取り出す工法と、燃料デブリを充塡(じゅうてん)剤で固めて取り出す工法を組み合わせて取り出す方法を提案していた。これらの作業を具体的に検討したところ、放射線量の低減や、作業の妨げになる構造物の撤去などが必要になると分かり、今後12~15年程度がかかる見込みとなったという。

 小委の更田豊志委員長は29日の記者会見で「私自身からすると(51年の廃炉は)もともと困難だと思っていた」と言及。一方で工法が具体化したことから、51年までの廃炉完了にわずかな実現可能性が出てきたとの見解を示した。【木許はるみ、小川祐希】

毎日新聞

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