<1分で解説>「7月5日に大災害」予言 どのくらいの人が信じた?

2025/09/12 16:12 

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 「7月5日に日本で大災害が起きる」という科学的根拠のない「予言」が広がり、インバウンド(訪日客)が減るなど社会に大きな影響が出ました。気象庁は「デマ」と指摘し、実際に大災害も起きませんでしたが、どれくらいの人がこの予言を信じたのでしょうか。1分で読めて役に立つ「サクッとニュース」、今回は「『7月5日に大災害』予言に関する人々の心理」について解説します。

Q 予言はどのくらい広がっていたの?

A 予言の出所は、2021年に出版され国内外で大ヒットした漫画家・たつき諒さんの作品「私が見た未来 完全版」(飛鳥新社)でした。たつきさんは夢を見た日などから大災害が起きるのは「2025年7月5日」と、あとがきに記していました。社会心理学が専門の大薗博記・鹿児島大准教授らが7月5日の前後に、全国の男女359人を対象にオンラインで調査したところ、予言を「全く知らない」と答えた人は41人だけで、認知度は89%でした。

Q 信じた人の割合は?

A 予言を認知していた318人に、7月3日の段階で予言が当たると思うかどうかを、①全くそう思わない②そう思わない③あまりそう思わない④どちらともいえない⑤ややそう思う⑥そう思う⑦強くそう思う――の7段階で聞いたところ、⑤~⑦は計5人とわずか1・6%でした。

Q 意外と少なかったんだね。

A そうとは言い切れません。全否定の①を選んだ人は40%程度で、②~④を選んだ人はそれぞれ20%程度いました。②~④の人は「当たると思う」と直接答えてはいませんが、どこかで否定しきれない気持ちがあることをうかがわせます。①と答えた人を1点、⑦と答えた人を7点とするなど回答番号を点数にして合計し平均した値は2・18でした。

Q 7月5日が過ぎた後、人々の考えに変化はあったの?

A 7月10日に1週間前の3日時点で予言が当たると思っていたかどうかを、①全くそう思っていなかった②そう思っていなかった③あまりそう思っていなかった④どちらともいえない⑤ややそう思っていた⑥そう思っていた⑦強くそう思っていた――の7段階で尋ねると、点数の平均は1・89でした。3日時点の2・18を下回り、予言を信じない度合いが強くなった形です。

Q なぜそうなったのかな。

A 社会心理学では、物事が起きた後に「予想通りだった」と過度に見積もる心理を「あと知恵バイアス」と呼びます。今回の回答者たちも、予言が外れたことで記憶が修正されるあと知恵バイアスが生じたと考えられます。

毎日新聞

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