民放連会長、BS4K撤退「やむを得ない」 ネット配信への移行議論

2025/09/18 20:36 

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 日本民間放送連盟の早河洋会長は18日の定例記者会見で、超高精細映像の衛星放送である「BS4K」について「(民放各局とも)将来的な経営計画を視野に入れると、営業費用を確保できるかどうかということだ。設備としてお金が掛かりすぎている」との認識を示し、撤退もやむを得ないのかとの質問に「その通りだ」と語った。BS4Kを手掛ける在京民放キー局系5社では、2018年の実用放送開始後、厳しい経営状況のため撤退論が浮上しており、4K番組についてインターネット配信への移行を議論し始めている。

 5社は、BS日本、BS朝日、BS―TBS、BSテレビ東京、ビーエスフジ。総務省の認定が27年1月に期限切れして更新時期を迎えるため、民放関係者は「撤退について今、議論しないと間に合わない」と指摘する。総務省の衛星放送に関する有識者会議でも今夏から、BS4Kの在り方を協議している。TBSは今月8日の同会議で、BS―TBSの24年度の事業収入約1200万円に対し、番組制作費や設備などを含めた事業費用は約8・6億円と説明。「開局当初から収支が厳しく、累計でも大きな赤字」とし、配信への移行で放送設備などのコストが大幅に減らせるとの見通しを示した。

 4Kはテレビ画面を構成する「画素」の数が2Kの4倍あり、きめ細かい映像を表現できる。総務省は放送サービスの高度化を掲げて普及を図り、BS4Kは18年12月にBS8Kとともに実用放送を開始した。複数の民放関係者はBS4Kについて「これまで旗振り役の政府に付き合ってきた面があるが、限界が来ている。各局とも撤退したがっている」と明かした。

 早河会長は18日の会見で「将来を考えると支出を減らさなければ危機が訪れる」と強調。一方で「2Kと(画質が)そんなに変わらない」とも述べた。

 18年の実用放送開始時はBS、CSの計16チャンネルあったが、現在はCSが全て撤退。民放キー局系の5社が撤退した場合、4K放送を続けるのはNHKと通販専門の計3チャンネルのみになる。【諸隈美紗稀、井上知大、屋代尚則】

毎日新聞

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