「香淳皇后実録」完成、両陛下らに提出 17年間にわたり編さん

2025/09/19 13:18 

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 宮内庁は、昭和天皇のきさき、香淳(こうじゅん)皇后の97年あまりの生涯をまとめた「香淳皇后実録」を19日までに天皇、皇后両陛下や上皇ご夫妻に奉呈(提出)した。2008年から17年間にわたり編さんが続いていた。戦時中の動静のほか、戦後の新憲法下で「象徴」となった昭和天皇と歩んだ姿など明治から平成という激動の時代を知る史料となりそうだ。宮内庁は10月9日にホームページで公表する予定。

 宮内庁書陵部編修課によると、編さんは確実な資料に基づき、客観的事実を記録する方針で進めた。生い立ちから結婚、進講や各地訪問などの動静を年月日順にまとめた。

 基礎資料は側近の日誌、地方や外国への訪問に関する宮内庁や各自治体の公文書など。関係する新聞記事や各所蔵機関の資料も収集し、利用した資料総数は約1500件。元側近ら30人から聞き取りもした。

 両陛下らの手元に届けられた「奉呈本」は桃色の表紙の和とじ本。14年に完成した昭和天皇実録の3分の1ほどの分量で本文は12冊(3822ページ)になった。宮内庁によると、両陛下には18日夕、皇居・御所で宮内庁の西村泰彦長官らが提出。天皇陛下から編さんにたずさわった関係者をねぎらう言葉があったという。上皇ご夫妻には19日午前、赤坂御用地の仙洞御所で同様に提出した。

 昭和天皇実録は一般向けに出版されたが、宮内庁は「誰もが利用できるような利便性を優先した」として、今回はホームページでの公開を決めた。

 香淳皇后は1903(明治36)年、当時皇族だった久邇宮家の長女として生まれ、良子(ながこ)と名付けられた。24年に結婚。上皇さま、常陸宮さまら2男5女をもうけた。77年に腰椎(ようつい)を骨折してからは徐々に公務を控えた。00年に死去した。【山田奈緒、柿崎誠】

毎日新聞

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