「万博ロス」 大阪メトロのアナウンスも切り替え グッズ販売は延長

2025/10/14 20:52 

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 大阪・関西万博の閉幕から一夜明けた14日、大阪市此花区の人工島・夢洲(ゆめしま)の会場では、朝からパビリオンなどの撤去作業が始まった。前日までは連日20万人以上が集まった会場周辺の風景は一変し、後片付けに来たスタッフたちが名残を惜しんだ。会場外にあるオフィシャルストアでは、公式キャラクター「ミャクミャク」のグッズを買い求める人たちが列を作っていた。

 毎朝9時の開場前から長蛇の列ができていた東ゲートは閑散としていた。会場内のドイツパビリオンでは、クレーンを使って高さ10メートルほどの樹木を撤去する作業が進んだ。他の施設でも、ヘルメット姿の作業員らが建物から展示物などを搬出していた。

 会場内の免税センターで働いていた栃木県大田原市の斎藤奈都子さん(55)は「今朝、誰もいない万博会場を見て、終わったんだなと実感した」と目を潤ませた。万博で働くため、半年前から大阪市内にマンションを借りて会場に通ってきた。14日が最後の出勤日だといい「笑顔があふれる特別な場所だった。万博に携われて本当に良かった」と話した。

 カタールパビリオンのフェイサル・アル・イブラヒム館長(37)は「多くの日本の人々と一緒に仕事をしたが、皆がカタールのことを理解しようとしてくれた。私も日本をしっかり見てから母国に帰りたい」と話した。日本国際博覧会協会(万博協会)のスタッフとして819日間、運営に携わってきた男性(39)は「『万博ロス』と言ってくれる人もいるが、私は無事に終えられてホッとしています」と振り返った。

 大阪メトロ中央線は14日から通常のダイヤに戻った。コスモスクエア駅(大阪市住之江区)の発車時に流れていた「次はいよいよ夢洲です」というアナウンスも「次は夢洲、終点です」に切り替わっていた。

 万博の公式ライセンス商品を販売するオフィシャルストアは14日もにぎわった。「あべのハルカス店」(大阪市阿倍野区)では午前10時の開店前に、約100人が並んでいたという。この日から万博会場限定だった100種類の商品の販売も始めた。

 夕方に仕事帰りで訪れた大阪市阿倍野区の自営業、森住公紀さん(45)は、通期パスで10回以上会場に行ったが、閉幕前は行列で土産を買えず、この日は家族のためにぬいぐるみやタオルなど計約4万円分を購入。この店でもレジの前に30人ほどの列ができていたが、森住さんは「これも万博っぽい。長蛇の列が当たり前だったから、これもなくなると完全に万博ロス」と話した。

 公式ライセンス商品の売り上げは8月末時点で約800億円に達し、当初は閉幕日で販売を終える予定だったが、2026年3月まで期間を延長する。【岡崎英遠、面川美栄】

毎日新聞

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