米軍の国道越え射撃訓練、受け入れ 地元「苦渋の決断」 静岡

2025/10/19 12:45 

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 米軍が静岡県の東富士演習場(御殿場市・裾野市・小山町)で27日に計画している国道469号をまたいでの高機動ロケット砲システム(HIMARS)の長距離射撃訓練に関して国と地元市町、地権者団体が協議する「東富士演習場使用協定運用委員会拡大会議」の2回目の会議が18日、御殿場市印野支所で開かれた。地元は「苦渋の決断としてやむを得ない」として訓練を受け入れた。

 米軍の訓練は東富士演習場を横断する国道南東側から北西側に向けて計12発発射させる。「演習弾を使用し爆発の危険性はない」としているが、訓練時間の午前と午後各30分間、国道は御殿場市板妻から裾野市須山にかけての約3キロが通行止めになる。

 地元側は訓練受け入れにあたり「HIMARS射撃訓練は今回限りとする」「騒音や交通規制の影響を検証し、結果を報告する」などの条件を付けた。

 陸上自衛隊も7日、同様の国道をまたいでの射撃訓練を実施したが、当時も地元は「今回限り」という条件を付けていた。国内で公道を封鎖しての射撃訓練は1997年度で廃止となった沖縄県での県道104号越え実弾砲撃演習以来、約30年ぶりとなる。

 地元からは訓練について、HIMARSでの事故の有無▽弾が演習場外に出る可能性――などの質問が出ている。18日に開かれた東富士演習場使用協定運用委員会拡大会議では、これらの質問に対し、防衛省側は「特段の事故はない」「射撃方向や角度をシステムが算定し、正確な射撃を行っており演習場外に影響を及ぼすことはない」などと答えた。

 御殿場市の勝又正美市長は「簡単に容認できるものではないが、安全保障環境の厳しさは理解する」と述べた。通行止め区間が最も長い裾野市の村田悠市長は「住民や企業、観光施設の影響を考えると苦渋の決断だった」と述べた。一方、地権者らで作る東富士演習場地域農民再建連盟の勝又亮一委員長は「国の提案はあまりに唐突。これほど短い協議は今までなかった。地元に対して不誠実」と不満を漏らした。【石川宏】

毎日新聞

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