文科省、16調査で特別支援学校生を除外 半世紀前から、経緯は不明
学校基本調査で18歳人口の集計から特別支援学校(特支)の卒業者数が除外されていた問題で、文部科学省は26日、他にも15種類の調査で特支を除外するなどの不適切とみられる取り扱いをしていたと発表した。調査対象などの見直しを検討している。また、遅くとも1971年の文書には特支を除外した統計が記載されていたことが確認されたものの、始まった経緯は不明と結論づけた。
学校基本調査の統計で特支を除外していた問題は毎日新聞の報道で発覚。文科省は特支の児童生徒を含めて再集計するとともに、退職者を含む歴代の担当者40人への聞き取りと旧文部省時代の文献などから経緯を調べていた。
学校基本調査では大学進学率の他に11指標について、最長で48年までさかのぼり特支を含む形で修正した。
他にも特支を除外するなどした取り扱いが15調査で見つかった。学校保健統計調査は74年度を最後に特支が対象とされてこなかった。公立学校の老朽化状況に関する調査も特支が対象に含まれなかった。問題行動・不登校調査では「いじめ」の件数を除き特支の児童生徒の状況が調査されていなかった。
学校基本調査の不適切な集計がいつ始まったかについては、71年発行の文部統計要覧に特支を除外した統計が記載されていたことが判明。この時の経緯は不明で、半世紀以上改善が図られなかった点については「統計の継続性の偏重や前例踏襲」を理由に挙げ、「漫然と放置したことは不適切だった」とした。差別意識の存在については認めなかった。
再発防止策として、障害者理解の増進に関する研修を実施するほか、統計業務の質の向上を図るため専門家会議を設置。外部有識者の助言も受け、統計業務の体制を強化するという。
調査の見直しにあたっては今後、専門家などの意見を聞きながら適切な調査対象や方法を検討する。抽出調査などの場合、特支の児童生徒数が少ないためサンプル数が不十分となる一方、悉皆(しっかい)調査に切り替えれば学校や保護者の負担が増すなどの課題もあり、特支を包摂した調査の設計は難航する可能性もある。【斎藤文太郎】
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