町田市民病院、市から20億円借り入れ 全国で広がる病院経営難

2026/01/10 13:45 

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 東京都町田市は、厳しい経営状況に直面している町田市民病院(440床)に、近く20億円の貸し付けを行う。深刻な赤字を背景に減少した現金残高を補うのが目的で、貸付金は病院職員の給与支払いなどに充てる。資金不足への対応として同市が市民病院に長期貸し付けを行うのは初めて。【鮎川耕史】

 町田市民病院は市内で唯一の公立病院。都の2次救急医療機関として重症患者を受け入れるなど、地域医療の中核的な役割を担っている。

 しかし、近年は医療機器や薬品などにかかる「材料費」の増加や、賃金のベースアップに伴う人件費の上昇により財政状況が悪化。2024年度の経常収支は約16億円の純損失となった。25年度は約20億円の純損失となる見通しだ。

 こうしたなか、職員への給与支払いや企業債の償還に充てるための現金残高も減少。今年4月分までの給与支払いに必要な約15億円と、3月に行う企業債の償還に必要な約5億円を確保するため、市からの資金調達が必要となった。貸付期間は約10年。貸付金利は0・5%となる見込み。

 町田市民病院は「地方公営企業」として独立採算を原則とするとともに、必要な経費の一部を市の一般会計から繰り入れている。市が策定した22~26年度の市民病院中期経営計画では、26年度の一般会計からの繰入金は12億5000万円とされている。

 ◇経営難、全国で

 物価高騰や人件費の上昇により病院が赤字経営に陥るケースは全国に広がっている。診療報酬の改定が物価変動などに追いついていないとの指摘もある。

 とりわけ、地域医療の拠点として収益性の低い部門も担う公立病院の経営は厳しい。総務省によると、24年度決算で、経常収支が赤字となった公立病院は全体の83・3%を占めた。

 各病院が経営改善の道を模索するなか、町田市民病院は、医療機関を専門とするコンサルティング会社の支援を受けることを決め、昨年11月に2年間の契約を結んだ。経営データの分析や職員への聞き取りなどを通じ、収支の健全化をサポートしてもらうのが狙いだ。

 他の医療機関との連携も始めている。昨年は町田市内にある11の病院と意見交換を行う会合を初めて開いた。今後は、それぞれの特長を生かした医療の役割分担や、病院間での患者の紹介を円滑に行う態勢づくりを検討するという。

 服部修久・町田市民病院事務部長は「公立病院としての機能をより充実させながら、メリハリのある経営を重視していきたい」と話している。

毎日新聞

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