大阪・ミナミで多発する痴漢・盗撮 学生が動画に込めた日常の違和感
大阪の繁華街・ミナミで多発する痴漢や盗撮被害。「夜に歩くのはちょっと怖い……」。女性をターゲットにした犯罪を少しでも減らそうと、地元の専門学生が立ち上がり、再現ドラマ仕立ての動画を制作した。
暗い夜道を一人で歩いていると、男性がずっと後ろをついてきている気配がする。振り返ると、男性はばつが悪そうに視線をそらして離れていった――。動画の一場面だ。
動画は「総合学園ヒューマンアカデミー大阪心斎橋校」(大阪市中央区)で俳優や声優、動画クリエーターを目指す学生ら計約10人が出演、編集。2025年に約半年かけて完成させた。ミナミで学生生活を送る自身の経験や、府警の協力をもとに被害が多い状況を再現。「あ、こういう人いるな……」という日常の違和感を約11分間の映像に込めた。
ミナミは難波を中心に地下鉄など複数の鉄道路線が乗り入れ、若者向けの大型商業施設も集まっていることから、若年層の犯罪被害が多く、特に女性の被害が目立つ。
南署によると、管内の盗撮被害認知件数は25年の10月末時点で83件。痴漢の検挙件数も同時点で21件に上り、いずれも府下ワースト1となっている。
監督・デザインとして制作に取り組んだ後藤凜さん(20)は、「犯行の手口について新たな発見もあった」と振り返る。
電車内の扉付近が痴漢被害に遭いやすいことを警察から教わったといい、車内の危険地帯や危険度がひと目で分かるイラストを作って紹介した。
ほかにも、盗撮は階段やエレベーターなど段差のある場所、痴漢は曲がり角や狭い道が危険なスポットだ。しかし、日常生活で危険スポットを避けて過ごすには限界がある。
動画では二つの被害に共通する対策として、スマホを注視したりイヤホンで音楽を聴いたりしながら歩く「ながら歩き」をしないよう特に注意を促している。自身の視界や聴覚を制限してしまい、不審者の接近に気付きにくくなるためだ。
一方、学生たちの中には、犯罪を防ぐために周りの人の行動も大切だという考えもある。特に盗撮は被害者が被害に気づかないケースもある。撮影された動画や写真がネットなどで出回ると完全に削除することは難しい。
編集担当の森田朱吏さん(20)はこの動画が、周囲の被害に気づいて声かけするなど被害者を守るための一歩を踏み出すきっかけになればと願っている。「第三者の中には、被害に気づいても見て見ぬふりをする人もいるはず。勇気を出して行動してほしい」
動画のタイトルは「忍び寄る危機!あなたにもできる痴漢・盗撮対策!」。YouTubeの大阪府警察安まち公式チャンネルで公開されている。動画作成を学生側に依頼した南署は「若者目線のドラマ仕立てで分かりやすくなった」と評価している。【松原隼斗】
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