泥かき、バラ園再建…次は足湯ボランティア 被災地で奮闘する大学生
2024年に地震と豪雨の2度の災害に見舞われた石川県輪島市門前町の深見地区と道下(とうげ)地区。「ふるさとをあきらめない」。困難な状況の中、被災した住民らが復興に向けて歩み出す一つの力となったのは、大学生ボランティアの活動だった。
半農半漁。そんな言葉がしっくりくる深見地区。元日の地震で道路が寸断されて孤立化し、住民らはヘリコプターで避難した。9月の豪雨では地区を流れる深見川が氾濫。住民が丹精込めて維持してきた畑も土砂で覆われた。
◇立ち上がった大学生たち
そんな地区の窮地に手を差し伸べたのが、北陸学院大(金沢市)の田中純一教授(59)と同大の有志を中心とした全国の大学生だった。田中教授は、07年の能登半島地震や11年の東日本大震災などの被災地でも学生らとボランティア活動を続けてきた。
深見の住人が暮らす道下の仮設住宅。その近くには住人が世話するバラ園がある。この園も地震でバラの木が倒れるなど被害があった。その再建に田中教授らのグループも力を貸した。そして、秋バラが満開を迎える24年10月、オーケストラアンサンブル金沢などのプロのオーケストラやアマチュアグループが出演するコンサートが同園前で開かれ、250人を超える人が集まった。
田中教授の活動に参加した同大4年の市谷美桜さん(22)はハンドベルサークルにも所属。道下では地震前、野外コンサートが開かれていたことを住民から聞き、「(サークルの)みんなを連れて来ます」と宣言した。コンサートで曲に合わせ体を揺らし、知っている歌は一緒に口ずさむ住民の姿を見て、「一緒に楽しめて良かった」と喜んだ。田中教授は「仮設に入居後、引きこもりがちになる人がいる。そういう人たちの外出の機会となった」と評価した。
◇地道な支援で取り戻した笑顔
「じゃがいもは待ってくれない」。深見の畑での泥かきは、高齢女性の一言がきっかけだった。じゃがいもの適切な植え付け時期は3月。それまでに泥かきを終えなければならない。田中教授らは豪雨直後の10月から手作業で畑を覆う泥や石を取り除き始めた。大きな石は目につきやすいが、小さな石はふるいにかけないと見つからない。市谷さんは「本当に石はなくなるのか」と終わりが見えない気持ちになったという。
しかし、学生らの奮闘に触発されたのか、仮設住宅から通いながら畑仕事を始める住人が増えてきた。そして、1本、2本と畝が使えるようになり、植え付け、芽吹きと畑の再生が目に見えてくると、住民らの笑顔も増えてきた。田中教授は「『もう戻れない』と話していた住民の顔つきが変わってきた」と語った。
田中教授は今後、学生らに「足湯ボランティア」を体験させようと考えている。足湯ボランティアは、湯に足を付けてもらい、手や足をさするだけでなく、悩み事などのつぶやきに耳を傾ける。同大1年の菱村悠里さん(19)は未体験だが、「話を聞くことで、ちょっとでもストレスを緩和できればうれしい」と話す。田中教授は「行政や医者には話せなくても、孫のような年代の学生には話せることもある。被災者には専門家だけでなく、素人との関係も必要だ」と語った。【中尾卓英、衛藤達生】
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