はるな愛さん、映画で初めての母親役 「家族の優しさを出せたら」
トランスジェンダー当事者を描く映画「となりのとらんす少女ちゃん」の撮影が今月中旬、福島県内で行われた。それを記念し、出演したタレントのはるな愛さんが映画のロケ地となった川俣町で地域住民との交流イベントを開いた。はるなさんはトランスジェンダーではない女性である母親役を演じる。
トランスジェンダーとは、出生時の戸籍の性別とは異なる性別を自認する人をいう。映画「となりのとらんす少女ちゃん」は同名の漫画が原作で、中学生のユウタの元に現れた10年後のユウタ自身である「ユウカ」と名乗るトランスジェンダー女性が主人公だ。
はるなさんが演じるのはユウタの母親役。起用の背景には、トランスジェンダーを描いた映像作品や俳優を巡る議論がある。近年、トランスジェンダーの役はトランスジェンダーの当事者が演じる流れが世界的に広がっている。一方で、トランスジェンダーの俳優が演じられる役が限られるといった指摘もある。
今回「そうではないということの証明を」と監督の東海林毅さんは新たな挑戦を決めた。東海林さんはこれまでもトランスジェンダーの役に当事者をキャスティングして映画を製作しており、今回も、ユウカ役はトランスジェンダー女性の俳優が演じる。さらに、トランスジェンダーではない母親役に、トランスジェンダーであるはるなさんを起用することにした。「トランスジェンダーの俳優が親子役で共演する、それ自体が何か化学反応を起こすかもしれない」とも考えたという。
はるなさんは演じるユウタの母親に自らの母親の姿を重ねる。自分の子どもがトランスジェンダーであることに、初めは抵抗感を示しながらも最終的には受け入れる。「(自分の経験から)家族って理解してくれるんだなって。そういった優しさというか大きさ、そういったものを出せたら」とし、「(自分の母親は)当時どんなふうに思っていたのかな」と考えながら初めての母親役に臨んでいるという。
ユウタが通う中学校として撮影の舞台となった川俣町の旧飯坂小学校では14日、交流会が開かれた。はるなさんはポップスや演歌、自らの新曲など10曲以上を熱唱。軽快なトークやダンスで観客を巻き込み、約100人が集まった会場を盛り上げた。
交流会ははるなさんが発案。はるなさんは東日本大震災当時、経営する飲食店のスタッフが相馬市出身だったことで震災10日後に来県。その後も休みを見つけては仮設住宅などに通い、被災者とカラオケで歌うなどの活動をしてきたという。はるなさんは「いろんな出会いや思い出がある、特別な場所」と福島について話す。
撮影は南相馬市でも行われた。1月末にかけて大阪、関東でも撮影を行い、今秋に公開される予定だ。東海林監督は「LGBTに関する作品だからと身構えず、コメディー映画なので気軽に楽しんでほしい」と話している。【松本光樹】
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