心に傷を負った兵士 戦争トラウマの実態、政府が初の常設展 東京
過酷な戦場の現実や加害行為のため心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの戦争トラウマに苦しんだ旧日本軍兵士や家族の実態について、厚生労働省は25日から戦傷病者史料館「しょうけい館」(東京都)でパネルなどによる常設展示を始めた。国が心に傷を負った旧日本兵やその家族の労苦に関する常設展示をするのは初めて。3月末までは同テーマの特設展示も併せてある。
厚労省は2024年度から旧陸軍病院や各地の療養所に入院・入所していた患者に関する資料を収集・分析しているほか、しょうけい館所蔵の体験記などから、精神疾患と診断された元兵士の家族の暮らしぶりについても調べていた。
展示では、恩給法に基づく傷病恩給の申請時に必要な提出資料「症状経過書」について、収集した10人分の症状や日常生活への支障といった状況が備え付けの端末で閲覧できる。
また、日本傷痍軍人会(13年に解散)が募った家族の体験記から、精神疾患に関する記述がある元兵士1人分の記録も収録した。元兵士の妹は兄について、「畑仕事もできず、家族に乱暴する日が続いた。生涯、何一つ楽しみもなく、家族の顔も分からない状態でやがて80歳を迎えようとしている。哀れな一生だ。私たち家族も哀れな毎日だ」などとつづっている。
第二次世界大戦中、多くの兵士が精神疾患で入院したが、旧日本軍はその存在を否定。当事者や家族には「恥」と考える意識が戦後も長く残り、体験を語ることがなかったため、実態が明らかになっていなかった。近年、元兵士の子ども世代が作った家族会が国に実態調査を求め、調査・展示につながった。【肥沼直寛】
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