「姉は私の一部」 ウィシュマさん入管死から5年、裁判出廷続ける妹
夢を抱いて日本に行った姉は突然、この世を去った――。名古屋出入国在留管理局の施設でスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が亡くなってから6日で5年となる。妹のポールニマさん(31)は「姉の死の真相を知りたい」と願い、今も裁判所に通う。
父は美容院を経営し、母もプラスチック工場に勤めていたため、ウィシュマさん、ワヨミさん、ポールニマさんの3姉妹は一緒に過ごす時間が多かった。
ポールニマさんにとって7歳上の姉、ウィシュマさんは「第二の母」とも言える存在だ。学校の登校に付き添ってもらい、体調を崩した時には病院に連れて行ってくれた。夕食を協力して調理し、お菓子の作り方も教えてくれた。姉の得意料理でソーヤミートを使ったカレーの味は「本当においしくて忘れられない」。
ウィシュマさんは父の影響で、英字新聞を読んだり映画を見たりして英語を勉強。子どもが好きだったこともあり、インターナショナルスクールの教師になった。そこで日本人生徒と接したことで、「日本で英語を教える先生」が新たな夢になったという。ポールニマさんは「ずっと一緒にいたので離れることは心苦しかった。それでも、姉が夢をかなえることができるなら応援しようと思った」と振り返る。
2017年に渡日し、日本語学校に通いながらホテルなどで働いていた姉とはよく近況を報告し合った。その後、徐々に連絡する機会が減っていた中で訃報を聞かされたポールニマさんは「いきなり亡くなるなんてありえない」と耳を疑った。日本で目にした遺体は「とても老けていて、姉とは思えなかった」と話す。
ウィシュマさんは不法残留となり、20年8月に名古屋入管に収容された。21年1月以降、体調不良を訴え、3月6日に亡くなった。
5カ月後、出入国在留管理庁は最終報告書を公表した。ウィシュマさんの死因は病死で、体調が日々悪化していく様子を職員が認識しながら、必要な措置を取らなかったとした。
ただ、ポールニマさんら遺族にとって、組織全体の責任を認めたとはいえない内容だった。そのため、「最終報告書には書かれていないことがある」として22年3月、国に約1億5600万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。
裁判は続いており、ポールニマさんはほぼ、全ての審理に出廷している。人の気持ちをよく理解できるという姉は「私の体の一部」だったとし、こう続ける。「亡くなった経緯が分からず姉も納得できていないと思う。なぜ死ななければならなかったのか。はっきりさせたい」【塚本紘平】
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