労働時間「減らしたい」は3割 「増やしたい」は1割 厚労省調査

2026/03/05 14:00 

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 厚生労働省は5日、働き方改革関連法施行後5年の見直しの一環で、労働者や企業を対象に実施した労働時間に関する調査の結果を発表した。「(今よりも)労働時間を増やしたい」と回答した労働者は10・5%にとどまった。時間外労働(残業)の上限である月80時間を超えて働きたい人は全体の0・5%だった。厚労省は「上限を超えてまで働きたいという声は非常に限定的であり、増やすとしても『上限の範囲内で』との声が多かった」とした。

 時間外労働の罰則付き上限規制は、働き方改革関連法に基づき2019年から順次適用された。現在の上限は原則月45時間。繁忙期など特別な事情があっても、月100時間未満、複数月平均で80時間以内に制限される。

 施行後5年の見直し議論の中で、自民党内から上限規制の緩和を求める声が浮上したことなどを背景に、厚労省は25年10~12月、労働時間の実態やニーズを把握するため、労働者3000人にアンケート、企業327社にヒアリングをそれぞれ実施した。

 労働者への調査では、「労働時間を増やしたい」と回答した労働者は10・5%だった。そのうち、希望する時間数を増やした場合に時間外労働が月80時間超となるのは全体の0・5%だった。一方、「労働時間を減らしたい」は30・0%、「このままで良い」は59・5%だった。

 増やしたい人にその理由を複数回答で尋ねたところ、最も多かったのは「たくさん稼ぎたいから」で41・6%、次いで「自分のペースで仕事をしたいから」が19・7%だった。「残業代がないと家計が厳しいから」も15・6%あった。

 一方、企業への調査では327社のうち53社が、労働者の労働時間を「増やしたい」と回答した。理由として半数以上の29社が「天候の影響による作業遅延」など業務の性質を挙げた。「現状のままがいい」は201社、「減らしたい」は73社だった。

 中央大の阿部正浩教授(経済政策)は「労働時間を増やしたい理由として所得増のニーズが多い。上限規制のあり方そのものが問題なのではなく、将来を見据えた生産性向上の取り組みやキャリア形成支援を進め、賃上げ環境を整えることが大切だ」と指摘した。

 働き方改革の見直し議論は今後、首相直轄の日本成長戦略会議などを舞台に進む。政府は今回の調査結果を参考にする。【塩田彩】

毎日新聞

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