カイロス失敗、宇宙ビジネスに深刻な影 挽回には「一日も早い成功」
人工衛星の軌道投入を目指して打ち上げられた宇宙ベンチャー「スペースワン」の小型ロケット「カイロス」3号機は、基幹ロケットのトラブルや打ち上げ失敗が相次ぐ日本の宇宙開発の救世主になることはできなかった。宇宙への輸送手段を取り戻すことはかなわず、拡大する宇宙ビジネスの今後にも深刻な影を落とした。
重さ1トン以下の小型衛星は、短期間かつ低コストで製造できるようになり、衛星を軌道投入するためのロケットの打ち上げ回数は右肩上がりに増加。2025年の世界の衛星打ち上げは324回と過去最高を記録した。
それに対し、日本から発射して成功したロケットは24年度は4機、25年度は2機にとどまり、低空飛行が続く。政府は30年代前半までに官民合わせて年間30機程度のロケットを打ち上げる目標を掲げ、うち20機は民間ロケットを想定。スペースワンにかかる期待は大きい。
また、衛星を投入する時期や軌道などの細かな希望に対応できる小型ロケットの需要は高いが、日本の苦境はここでも続く。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は22年にイプシロン6号機の打ち上げに失敗。カイロスと同じ固体燃料を採用している改良型「イプシロンS」もエンジンの燃焼試験で2度の爆発を起こし、開発が難航している。
JAXAで研究総括などを務めた沢岡昭・大同大名誉学長は「カイロスはコスト削減でサイズを小さくしたりコンピューター判断を導入したりし、限界ギリギリを体現している」と開発の難しさに理解を示した。その上で、今回の失敗について「人間がある程度判断できる仕組み作りを考えるべきではないか」と指摘。「連続の失敗で顧客獲得はもちろん、日本の宇宙開発の信頼性に影を落とすことは避けられない。一日も早く成功するしか挽回の道はない」と求めた。【田中韻、信田真由美】
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