手話通訳士の配置制度7府県警のみ 運転免許更新講習 本紙調査

2026/03/19 08:00 

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 自動車運転免許更新の講習で聴覚障害者に手話通訳士を配置する制度を設けているのが全国47都道府県警のうち7府県警にとどまり、8割にあたる37都道府県警が配置していないことが毎日新聞のアンケートでわかった。

 道路交通法の改正で2008年から全く聞こえない人でも免許を取得できるようになったが、安全にかかわる講習で十分な情報保障が整えられていない実態が浮き彫りになった。

 毎日新聞は2~3月、47都道府県警察本部にアンケートし、全警察本部から回答を得た。「手話通訳士を配置しているか」との質問に、7府県警が「配置している」▽37都道府県警が「配置していない」▽3県警が「その他」と回答した。

 7府県警のうち、宮城、神奈川、大阪、和歌山は受講者が要請すれば手話通訳士が派遣され、石川、福井、滋賀は手話通訳士が付く特別講習を実施している。これまでの利用者は各府県警で数人から数百人まで幅がある。石川では08年3月に運用を始め、今年2月までに202人が利用した。

 一方、配置していない理由として「警察職員である手話通訳官については育成中だが、常時確保することは難しい」(青森)「聴覚障害者の合理的配慮が必要なケースは年数回程度であるため、専属の手話通訳士は配置していない」(京都)「費用対効果を考えると、予算措置が困難」(佐賀)――との内容が挙げられた。ただ、多くの警察本部で受講者が手配した手話通訳士の同席は認めていた。

 「その他」とした岐阜、愛知、鳥取は役場の派遣制度を案内したり、受講者が地元の団体に依頼して手話通訳士を同席させられたりする仕組みなどを導入している。

 また、免許更新の手続きや適性検査で聴覚障害者の情報保障をする工夫をしているか尋ねたところ、45都道府県警が「工夫している」と答えた。

 具体的には「聴覚障害者であることが分かるよう『蝶々(ちょうちょう)マーク』を付し、裏面に『手続き窓口の順番』などを記載したカードを配布」(警視庁)「手続きの要所に聴覚障害者とすぐに意思疎通できるよう小型のホワイトボードなどを設置」(富山)「指さしで意思表示ができるような指さし会話シートを用意」(広島)――としている。

 警察庁は取材に「字幕表示や手話通訳入りの講習動画を作成し都道府県警に配布しているほか、手話通訳者の確保に努めたり、書面などを使って分かりやすく説明を行ったりするよう指導している」とコメントした。

 聴覚障害者の自動車運転免許 当事者団体が警察庁に要望を繰り返し、08年6月から聴覚障害者マークやワイドミラーを搭載すれば普通自動車の免許を取得できるようになった。

 12年に普通貨物車や二輪車に広がり、16年からは補聴器を付ければバスやタクシーなどの第2種免許も取得できる。

 免許更新については、マイナンバーカードと運転免許証を一体化させた「マイナ免許証」があれば、25年3月から優良と一般運転者に限り手話通訳付きのオンライン講習も受けられる。

 一方、免許センターで対面で受講する講習では手話通訳の配置は広がっていない。【加藤昌平】

毎日新聞

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