輪島朝市、和倉温泉…能登の観光地、数年後の本格復旧へ「一歩」

2026/03/27 08:15 

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 2024年の能登半島地震で大きな被害を受けた輪島・朝市通り(石川県輪島市)と和倉温泉(同県七尾市)を代表する老舗旅館で26日、本格復旧に向けた工事や神事があった。どちらも能登有数の観光地や人気旅館で、震災前は能登観光をけん引する存在だった。いずれも整備が完了するまで数年はかかる見込みだが、関係者は「能登観光の再建に向けた一歩だ」と期待を寄せている。【中尾卓英、衛藤達生】

 輪島市は、地震に伴う大規模火災で焼失した「朝市通り」一帯の復興に向け、造成工事に着手した。市は土地区画整理事業を予定する約4・8ヘクタールのエリアに、防災機能を備えた多目的広場や商業施設、災害公営住宅などを整備する予定で、28年度末の完成を見込む。

 この日は北西エリアで、東西に延びる幅5メートルの市道や11区画の宅地を整備するため、建設業者が重機を使って水道管を掘り起こしたり、土地をならしたりした。

 朝市通りの商店街は27年春、朝市は5年後の再開を目指している。市本町商店街振興組合理事長の高森健一さん(64)は「ようやくスタートライン。奥能登全体のアンテナショップになって、多くの人に足を運んでほしい」と期待した。

 朝市通りは震災前、海産物などを扱う露店が並ぶメインストリートで、まちに年間120万人以上(新型コロナウイルス禍前)の観光客を呼び込む原動力になっていた。しかし、地震に伴う火災で周辺約5万平方メートル、約240棟が焼失。昨年4月に公費解体を終え更地になっていた。

 一帯では区画整理事業の手続きを終え、早い区画では今春から店舗や住宅の建設が可能になる。ただ、市によると、工事業者の不足の影響などで実際の着工は夏ごろになる見込み。市の担当者は「なりわい再生と観光のシンボルになるよう、関係者らと話し合いを重ね、工事を進めていきたい」と話した。

 ◇和倉温泉でも解体工事着手へ

 能登旅行の拠点となる和倉温泉の老舗旅館「加賀屋」では、公費解体に向けた式典があり、神事を行って工事の安全などを祈願した。解体工事は4月初旬に始まり、31年春ごろ完了する予定という。

 加賀屋は「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で36年連続で日本一に選ばれた国内屈指の人気旅館。地震では建物の外壁にひびが入ったり、正面玄関付近の12階までの吹き抜けで壁やガラスの一部が落下したりするなどの被害を受けた。

 加賀屋グループは地震前、和倉温泉内に加賀屋(233室)に加え、「松乃碧(まつのみどり)」(31室)▽「あえの風」(114室)▽「虹と海」(49室)――の計4旅館を運営していたが、いずれも休館している。

 25年8月の同グループの発表によると、加賀屋は、解体された松乃碧と隣接地を合わせた敷地内に新たな旅館を建設し、28年春の営業再開を目指す。客室数は、2館計264室から約40室へ大きく減らす方針という。他の2館も建物の一部を解体し、新たな施設を整備するなどして、27年度上半期までの営業再開を目指す。

 この日の式典には加賀屋の役員や社員、OBら約200人が出席。加賀屋の渡辺崇嗣(たかつぐ)社長はあいさつで「多くのお客様、OB・OGにとっても思い入れがある建物」と別れを惜しみながらも、「加賀屋の未来に向けた再出発だ」と述べ、再建への決意を新たにしていた。

毎日新聞

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