日本に一時避難したウクライナ女性、自らの体験や現地の状況紹介

2026/04/01 09:45 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ロシアによる全面侵攻から4年がたったウクライナの現状を考えるイベントが広島市中区の広島YMCA国際文化センターで開かれた。侵攻を受けて日本に一時避難したウクライナ経済・環境・農業省職員、マリヤ・ボンダレンコさん(23)が自らの体験と戦時下の人々の暮らしなどを紹介した。

 2022年2月24日、北部キーウで両親、弟、妹と暮らす大学生だったボンダレンコさんは、朝のニュースで戦闘開始を知った。自宅にいると「バン」と爆発音が何度も聞こえてきた。近くの倉庫やインフラ施設が攻撃を受けたという。「弟や妹に『この音は花火?』と聞かれました。どう答えればいいのか分からず、悲しみがあふれました」と振り返る。

 日本語を学び日本文化にも興味があったボンダレンコさんは22年5月に神戸市に避難した。家族はウクライナ国内にとどまり、母親と弟妹は比較的リスクの低い西部に避難、父親はキーウに残った。安否を気遣い、毎日のように連絡を取り合った。

 侵攻から1年を迎えるころ、大学卒業前に亡くなった同年代の人生を伝え追悼するイベント「発行されなかった卒業証書展」を友人たちと企画した。

 趣味や夢、家族とのエピソードなどを「卒業証書」を模した紙にまとめ、笑顔の写真とともに会場に飾った。イベントは約20カ国で開かれ、ボンダレンコさんは神戸市での開催時に中心的役割を担った。

 国際協力機構(JICA)のインターンシップで避難民向けの就職支援などに携わった後、25年9月にウクライナに帰国。現在は経済・環境・農業省職員として同国への投資を各国に呼び掛ける仕事をしている。

 出張で日本に滞在していた3月17日、JICAが広島市内で開いたイベントに招かれ、片山芳宏・元駐モルドバ大使、オンライン参加のJICAウクライナ事務所員とともに登壇。オンラインを含め約120人が聴き入った。

 ボンダレンコさんは、ロシアの攻撃でエネルギー施設が破壊され暖房などが使えなくなったり、毎日午前9時には亡くなった人を思い黙とうする人が街中にいたりすることなど現地の最新状況を紹介した。「家族や友人を亡くした人はたくさんいて、その悲しみは決して消えない。苦しみながら生活する人たちのために、自分にできる支援をしていきたい」と語った。【井村陸】

毎日新聞

社会

社会一覧>