体内で溶けるネジ、骨折治療に朗報か 開発も加工もつくば発
つくば発の技術が骨折患者の朗報となる日が近そうだ。まもなく医療現場でお目見えするのがマグネシウム合金のネジで、手術で固定した後に1年ほどで体内で溶けてなくなるという。【山越峰一郎】
◇2027年に実用化へ
開発したのはベンチャー企業「メルフロンティア」。厚生労働省に医療機器として申請しており、年内の承認が期待される。2027年に実用化され、5年後に年9万件の手術のうちシェア3割を獲得することを目指している。1月には、常陽銀行などを傘下に置くめぶきフィナンシャルグループの「めぶきビジネスアワード」で最優秀賞を受賞した。
メルフロンティアは、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)の研究者だった北川全(あきら)社長が、産総研の別の研究者が開発した技術を製品化するため17年に起業した。現在は営業のため本社を東京に移転したが、研究室は茨城県つくば市に置く。筑波大と連携した臨床試験も行っている。
従来のチタンやステンレスのネジは、手術後も体内に残すか再手術で取り出すかを選ばなければならなかった。体内に残したままだと、コンピューター断層撮影(CT)や磁気共鳴画像化装置(MRI)の画像が乱れるといった問題もあった。マグネシウム合金は、体内で分解・吸収される過程で骨がネジの穴を埋めて強度を維持できるメリットがあるという。
加工の主力を担うのもつくばの企業だ。マグネシウムは発火の恐れもあり、ネジに加工できる業者探しが難航した。金属部品メーカーの三和ニードル・ベアリング(つくば市)の関係者が第三セクターつくば研究支援センターで北川社長の講演をたまたま聞き、「新しいことをやってみたい」と手を上げたことで、大量生産のめどが立った。
メルフロンティアは米大手医療機器メーカーとも交渉中。フィンランドやドイツなどに競合企業もいるが、将来的には世界市場でもシェア3割を目指す。また4年後をめどに、世界初となる臓器をつなぐマグネシウム合金ホチキスの開発も進めている。
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