庁舎で43人犠牲の宮城・南三陸町 復興尽力の元職員が伝承館長に

2026/04/03 18:20 

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 宮城県南三陸町にある東日本大震災の伝承施設「南三陸311メモリアル」の新館長に元町総務課長の高橋一清さん(65)が就任し、同館で3日、任命式があった。高橋さんは「震災の出来事と記憶を未来につなぎ、多くの命を守ることに少しでも貢献できる施設を目指したい」と抱負を述べた。

 就任は1日付。高橋さんは同町入谷地区出身で、1979年に旧志津川町役場に入庁。2011年3月は商工観光課の係長で、地震発生直後に誰よりも早く防災対策庁舎に入ったが、避難者対応に当たろうと高台の学校に移り、津波の難を逃れた。その後は避難所運営や産業再生など町の復旧復興に尽力した。

 同館の運営にも準備段階から関わり、22年10月の開館以降は町から派遣された「顧問」という立場で伝承に従事。防災対策庁舎で同僚ら43人が犠牲となった後悔と教訓を語り継いできた。さらに活動の幅を広げるため、役場を3月で退職し、このたび新設された館長職に就いた。

 任命式には、昨年11月に同町長を退任後、同館の特別顧問に就いた佐藤仁さん(74)も駆け付け就任を祝った。施設を管理運営する南三陸町観光協会の佐藤太一会長(41)から任命書を受け取った高橋さんは「震災の記憶が薄れ、震災後生まれの世代が増える今、いつでも当時に立ち返れる伝承施設の役割は大きくなっている。三陸沿岸の多くの施設とつながり、全国に情報発信して震災学習の中心的存在となることを目指したい」と語った。【百武信幸】

毎日新聞

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