全国唯一の市職員「鵜匠職」、34年ぶりに採用へ 愛知・犬山
愛知県犬山市は23日、1300年の歴史がある伝統漁法の鵜飼(うか)いの担い手「鵜匠(うしょう)」の採用試験を始める。全国の自治体で唯一となる鵜匠職に20~30代の14人が応募。試験は5月末まで行われる。
鵜匠はウミウを用いてアユなどの魚を取る。市北端の木曽川では毎年6~10月に「木曽川鵜飼」が開かれ、昨年は1万7153人が観覧船に乗り楽しんだ。
これまで市職員の40代男性3人と市観光協会職員の30代女性1人の計4人が鵜匠を担っていた。3月までに市職員2人が「一身上の都合」で退職したことから、新規採用試験を実施することになった。
採用は「若干名」。正社員として3年以上の勤務経験がある社会人の応募もあった。三次試験まであり採用は7月1日付。面接や筆記に加え、職務遂行に必要な体力測定もある。採用後は鵜やアユの知識のほか、鵜匠に必要な手縄の扱い方や備品の作り方を学ぶ。適性を考慮され、数年かけてデビューするという。市観光課の伊藤修課長は「相手は動物なので相性もある。鵜飼いの継承・保存のため頑張ってほしい」と話す。
市によると全国では9府県11カ所で鵜飼いを実施。岐阜県関市の小瀬鵜飼と岐阜市の長良川鵜飼は宮内庁式部職(国家公務員)が担い、皇室にアユを献上している。他は船会社員や観光協会職員で、市職員が務めるのは犬山市だけだ。
◇1964年、市営事業に
犬山の鵜飼いは3代目犬山城主・成瀬正親が1659年に始めたとされる。6代目城主・正典が殺生を禁じ1809年に中断。その後、鵜匠の子孫とされる鵜飼鎌次郎が1899年に復興し、2代、3代と鵜飼家が続けてきた。ただ、市史によると「川も汚れ漁業として成り立たず、観光で続けても個人経営は難しく」なった。市は1964年、鵜飼いの歴史や観光価値を重視して市営事業に移行。鵜匠も市職員になった。
鵜飼家3代目の弟子による1人体制が長く続いたことから市は92年、伝統継承のため3月までに辞めた2人を含む3人を採用。中学校卒業後に入庁して昼間は修業、夜間は高校で学習し2~4年で鵜匠として独り立ちしたという。
鵜匠職の一日は、市観光課への出勤から始まる。朝礼後、車で約10分の鵜管理事務所に移動する。飼育する約50羽の体調を確認して餌をやり鵜舎を掃除。これらを正月も欠かさない。現状は2人体制で負担が大きく、34年ぶりに新人を募集することになった。
新人の独り立ちまでは2人体制が続くため、例年最大2隻の鵜舟は今季、1隻に減らす。伊藤課長は「観覧船を周りにうまく配置するなど、極力影響のないように調整する」としている。【川瀬慎一朗】
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