9価HPVワクチン 接種男性で頭頸部がん発症が半分近くに減少

2026/04/23 06:54 

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 9価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種を受けた男性は、頭頸(とうけい)部がんの発症リスクが大きく抑えられるとの研究結果を、奈良県総合医療センターのチームがまとめた。未接種の男性と比べて5割近く減少したという。HPVワクチンは現在、女性のみ定期接種の対象だが、男性についても議論を呼ぶかもしれない。

 9~26歳の男性で、2016~24年に9価ワクチンを少なくとも1回は受けた61万5155人と、未接種の229万623人について、最大10年間追跡した米国の大規模データベースを統計処理して分析した。

 その結果、9価ワクチンの接種を受けた男性は、未接種者と比べて頭頸部がんの発症リスクが46%減少した。年齢別でみると、9~14歳で42%、15~26歳で50%、それぞれ減っていた。

 チーム代表の北野泰斗・同センター小児科医長は「9価HPVワクチンは、思春期と若年成人の男性で頭頸部がんの予防に大きく貢献しており、男女を問わないワクチン接種戦略を後押しする有力な根拠となり得る」と話している。

 頭頸部がんは50~60代の中高年男性に多く、罹患(りかん)率は女性の約4倍。喫煙と飲酒が主な原因だが、近年はHPV関連の中咽頭(いんとう)がんが男性で急増している。

 HPVは皮膚や粘膜に感染するウイルスで、200種類以上の型がある。主に性交渉によって感染し、子宮頸がんのほか、頭頸部がんなどの原因となる。

 9価ワクチンは、高リスク型の7種類を含む9種類のHPVの感染を防ぐことが可能で、原因ウイルスの8~9割の感染を予防できるとされる。

 日本では、公費無料となるワクチンの定期接種は小学6年~高校1年に相当する女性が対象で、半年間で2~3回接種する。男性は対象外で、自費で受ける場合は3回で10万円ほどかかる。

 HPVワクチンは世界80カ国以上が男性への定期接種を導入しており、欧米やオセアニアではほぼ全ての国が対象。米国、英国、カナダなど主要7カ国(G7)では日本を除き導入されている。

 研究成果は9日、米国医師会発行のがん専門医学誌で発表された。【河内敏康】

毎日新聞

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