10年前と同じ激しい揺れ襲う イオンモール崩壊、家屋倒壊…

2026/07/28 21:25 

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 10年前と同じ激しい揺れが、再び熊本を襲った。熊本県宇城市と氷川町で最大震度7を記録するなど、同県内を中心に28日夕、九州の広範囲で大きな揺れを観測した。余震も相次ぐ中で各地で家屋が倒壊し、大型ショッピングモールで爆発の被害も発生。被害の全容は見通せないが、火災や停電も相次ぎ、多数のけが人が出ている模様だ。熊本県で震度7を観測したのは、2016年4月に2度の震度7を観測した「熊本地震」以来。当時の記憶を呼び起こされた住民らは声を震わせ、不安な夜を過ごした。

 ◇イオンモール熊本、2階部分が崩壊

 「雷が落ちたような音だった。フードコート付近が爆発したと思う」。熊本県嘉島町の「イオンモール熊本」にいた50代の男性はそう振り返る。同施設で地震発生直後の28日午後6時ごろ、「ドンという爆発音がした。白煙が上がっている」との119番が相次いだ。

 記者が現地で取材すると、施設の2階と3階部分の鉄骨がむき出しになっており、吹き飛ばされたとみられるコンクリート片が付近の道路にも散らばっていた。コンクリート片の直撃を受けたとみられる大型トラックが立ち往生していた。

 上益城消防組合消防本部によると、詳しい状況は判明していないが、2階部分が崩壊。多数の人が閉じ込められているといい、消防や陸上自衛隊による救助活動が進められた。少なくとも4人が搬送され、意識はあるという。イオンの担当者は「地震発生直後に目視できる限り従業員と客を全員避難させたと報告を受けた。その後、爆発があったと追加で報告があったが、巻き込まれた人がいるかは確認中」と明かした。

 600メートルほど離れた住宅にいた60代男性は「地震発生時は自宅におり、10年前と同じような揺れを感じた。少ししてボンという爆音と爆風を感じた。自宅の2階に上がると、白い噴煙と火が見えた。最初は余震かと思った。けが人などがいなければいいが……」と不安そうに語った。

 近くに住む男子高校生(17)は「いつも遊びにきていたので、こんなことになるなんて驚いている。客を避難させて、その後店員さんたちが戻ったタイミングでの爆発だったみたい。とても心配です」と話した。

 ◇日本製紙、煙突が折れる

 熊本県内では、他にも建物の倒壊や損壊など各地で甚大な被害が相次いだ。熊本県八代市の日本製紙八代工場では煙突が折れた。数人の従業員と連絡が取れていない。氷川町の八代北部地域医療センターの担当者は「把握できないくらい地域の人が緊急外来にきている。混乱している」とし、午後7時15分現在でけが人は少なくとも60人以上で、重傷者も複数出ているという。

 熊本城(熊本市中央区)も被災したとみられ、住民らから「石垣が崩れている」との情報が複数寄せられた。市熊本城総合事務所によると、けが人や火災発生の情報はない。熊本城は16年の熊本地震でも天守閣などが損壊。石垣の石材約3万個が崩落し、修復作業が続いており、シンボルの天守閣は21年3月に復旧したばかりだった。

 被災した住民らは、それぞれ緊迫した声で当時の状況を振り返った。

 震度7を観測した宇城市。地元の商工会事務局の前田洋治さんによると、縦揺れが襲った後、激しい横揺れが続いた。「立つこともできなかった」。2階建ての商工会本所の建物内で会議室の天井の一部が落下し、壁に多数のひびが入ったという。午後4時半ごろの地震直後に停電したが、午後5時ごろに復旧した。商工会は市内に4カ所の支所があり、うち1カ所でキャビネットが倒れ、女性職員が骨折したという。

 電話取材に応じた運転代行業の城下昇さん(73)は宇城市の自宅にいたところ、激しい揺れに襲われた。「下から突き上げるような揺れだった」と振り返り、10年前の地震よりも揺れを強く感じたという。室内では家具や食器が散乱したといい、テレビで情報を集めているという。

 「棚の物が落ちたり、倒れたりして家の中がめちゃくちゃ。16年の熊本地震よりもひどい」。同じく宇城市の女性はそう声を震わせた。余震も続いており、自宅浴室に避難したという。宇城市内では火災も相次いで起きているとみられ、地元消防は「被害が多すぎて状況が分からない。119番がひっきりなしに鳴っている状況だ」と説明した。

 震度6強を観測した八代市。「セブン―イレブン新八代駅前店」のマネジャー、村仲洋子さん(52)は「ものすごい横揺れが起きて、立っていられず尻餅をついた」。地震発生時は店内に客はおらず、村仲さんはスタッフ2人とバックヤードにいた。他の2人も激しい揺れに耐えられず、転倒したという。店内では飲料品のほとんどが棚から落下して散乱し、割れた破片が散らばったという。けが人はいなかったが、村仲さんは「とにかく気が動転して恐怖だった」と振り返った。

 同じく八代市の女性(79)は自宅で横になって休んでいる時に大きな揺れに襲われた。「いきなりドーンと揺れた。物が散乱して家の中がめちゃくちゃだ。怖くてやっとの思いで階段を下りて外に出た。今も怖くて体の震えが止まらない」。夜は避難所に身を寄せると話した。

 ◇医療現場では混乱も

 震度6強を観測した熊本県益城町の益城中央病院では、地震で透析患者の治療ができなくなり、町外の医療機関で受け入れてもらうための調整を始めた。女性事務員によると、厨房(ちゅうぼう)のスタッフがやけどを負ったという。カルテや注射器を入れていた棚が倒れ、入院患者やスタッフらが一時騒然となった。女性は「16年の地震の時よりも、今回は揺れが長く感じた」と話した。

 益城町にある浄恩寺の住職、玉春勇樹さん(43)は「納骨堂のお供え物などが落下し、飲み物の瓶が壊れて水浸しになった。線香の灰も周囲に散乱して足が踏み入れられない状態だ」と語った。境内の石碑も倒壊しているという。地震発生時は保育園に子どもを迎えに行く途中だったという玉春さんは「道に亀裂が入り、電線も切れていた。物置が倒れるなど、車で走行するのがやっとだった」と町の様子を語った。

 震度5強を観測した熊本県水俣市。市中心部の100円ショップ「ダイソーエムズシティ水俣店」では、大きな揺れで棚から商品が落ち、割れるなどの被害があった。女性スタッフ(38)は片付けに追われながら「こんな揺れは初めて。時間も長くて怖かった。お客様にけががなくて良かった」と話した。

 熊本市東区の70代の酒屋の男性店主は「10年前の揺れを思い起こす地震だった。熊本地震後の対策で前回より商品の被害は少なくて済みそうだが、揺れの大きさは10年前と変わらない揺れだった」と話し店の掃除に追われていた。近くのコンビニでは水や食料を買い込む客らの姿が見られた。

 ◇交通網寸断

 交通網にも被害が出ている。九州自動車道では宇城市の「松橋インターチェンジ(IC)」と八代市の「八代IC」間で、複数箇所が隆起し寸断され、通行できない状況になった。

 JR貨物によると、八代市の八代駅構内で貨物列車の機関車1両やコンテナを載せた貨車数両が脱線し、横転。ただ、地震発生時は停車中だったとみられ、けが人はいなかった。

 熊本市西区のJR熊本駅では大きな揺れの後、係員の指示により利用客が屋外に避難した。

 九州自動車道下りの坂本パーキングエリア(PA)にいた熊本市北区の久保田憲寿さん(49)は「大きい縦揺れが続き、驚いた。すぐに自宅の妻に電話を入れ、家族の無事を確認した」。九州自動車道は地震の直後、通行止めとなった。「明日の仕事はキャンセルした。自宅に戻りたいのだが、どうしたらいいのか」と困惑していた。【野呂賢治、山口桂子、井土映美、田原拓郎、古瀬弘治、二村祐士朗、広瀬晃子】

毎日新聞

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