事件性と犯人性が争点 被告側無罪主張へ 北九州6人死亡火災

2026/10/05 06:31 

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 2017年5月に北九州市小倉北区のアパート「中村荘」が全焼し住人6人が死亡した火災で、現住建造物等放火や殺人などの罪に問われた元住人の無職、井上浩二被告(58)の裁判員裁判が5日、福岡地裁小倉支部で始まる。井上被告の関与を直接的に裏付ける証拠はなく、被告側は無罪を主張する見通し。火災が放火によるものかどうかの「事件性」や、被告による犯行かどうかの「犯人性」が争点となる。

 起訴状などによると、井上被告は17年5月7日午後11時10~15分ごろ、入居者14人がいた木造2階建ての中村荘で、1階の無施錠の正面玄関から侵入し、1階トイレ前でガスバーナーのようなものを使って放火。延べ約283平方メートルを全焼させ、6人を殺害した上、重軽傷を負った5人を含む8人を殺害しようとしたとしている。

 福岡県警によると、中村荘付近の防犯カメラ映像には、原付きバイクに乗って来た不審人物がアパートの正面玄関方向に徒歩で向かい、すぐに戻ってきて立ち去る様子が映っていた。出火が確認されたのは、その直後だった。

 県警は、現場周辺の70台超の防犯カメラ映像をたどる「リレー捜査」によって不審人物が井上被告の当時の自宅と現場を往復していたことを確認。画像鑑定の専門家からは、複数の映像で不審人物が被告と酷似しているとの見解も得た。また、画像解析の結果、被告が絡んだ別事件の捜査過程で押収した被告の原付きバイクや衣服の特徴が不審人物のものと一致すると判断した。

 さらに、出火元に電気配線がショートした痕跡がないことや、たばこの不始末による失火の検証などから、県警は放火でなければ出火の説明がつかないと結論づけた。

 検察側は約30人の証人尋問を行い、状況証拠を基に有罪を立証する方針。検察幹部は「簡単な裁判ではないが、細かく立証を重ねていく」と話した。

 一方、放火の瞬間を映した防犯カメラの映像や目撃証言がなく、井上被告は捜査段階で「やっていない」と容疑を全面否認していた。弁護側は状況証拠だけでは被告を犯人と断定できないとして全面的に争うとみられる。

 裁判は約20回の審理を経て27年1月14日に判決が言い渡される。【栗栖由喜】

毎日新聞

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