2番手のつもりが…ドジャース入り佐々木朗希 少年野球で見せた一端
納得できる結果が得られるまで頑張れ――。米大リーグ・ドジャースとマイナー契約を結んだ佐々木朗希投手(23)の出身地、岩手県陸前高田市で後援会事務局長を務める村上知幸(ともゆき)さん(54)は、佐々木投手が最初に所属したチーム「高田野球スポーツ少年団」の監督だった。同じ岩手の出身でチームメートになる大谷翔平選手(30)の背中を追う佐々木投手に「所属先が決まってほっとした。大谷選手からいろいろ吸収しながら飛躍してほしい」と期待を寄せる。
「2番手投手になってもらえたら」。2010年11月、佐々木投手を初めて登板させた場面を村上さんは思い起こす。
小学5年生以下の新チームで臨んだ練習試合だった。佐々木投手は一番年下の3年生。4年生に進級したら1学年上のエース候補と共に活躍してもらおうと、試合経験を積ませるのが目的だった。
リリーフとして登板した佐々木投手は1回を3者凡退に抑えた。現在は190センチを超す長身から最速165キロの速球を繰り出すが、当時の体格は他の同年齢の選手と比べても少し大きい程度。しかし「野球の基本」であるキャッチボールはしっかりでき、フォームもきれいだった。村上さんは投球時に踏み出す左足の方向を修正するアドバイスにとどめた記憶が残る。
佐々木投手がスポーツ少年団に入ったのは10年春。当時のチームは3歳上の兄が中心選手だった。佐々木投手の同級生は二十数人おり「全員は思い出せないが、朗希のことは覚えている。ここまで成長するとは思いも寄らなかった」と村上さんは振り返る。長距離走で1番になれずに悔し涙を流したことや、自分の主張を曲げない姿に「負けん気の強い次男坊」との印象を持っていた。
佐々木投手が練習試合のマウンドを任された翌年、11年3月11日に東日本大震災が発生した。佐々木投手の自宅は津波で流され、父親と祖父母が犠牲になった。小学4年になると東隣の大船渡市に転居し、村上さんの元を離れた。その後も野球を続けた佐々木投手は大船渡高卒業後にドラフト1位でプロ野球・千葉ロッテマリーンズに入団。史上最年少で完全試合を達成し、23年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場するなど素質を開花させた。
自身も震災で母親を失い、次男が行方不明となった村上さんは「私は野球の試合で選手にサインを出していると、悲しみも、つらさも忘れた。朗希も野球に救われたのではないか」と推し量る。
陸前高田市職員で地域振興部次長の村上さんは、22年3月に発足した佐々木投手の地元後援会の事務局長を務め、横断幕やのぼりを製作するなど応援ムードを盛り上げてきた。「朗希の大リーグでの活躍がまちの活性化や市内の野球人口増加につながってほしい」と願う。
大リーグ挑戦表明後の24年11月下旬、村上さんは市内で自主トレーニングに励む佐々木投手と会った。交わした言葉は少なかった。だが、鍛え上げられた体と精悍(せいかん)な顔付きに「大きくなったな」と感慨を覚えた。
「大リーグへの移籍は野球人生の通過点に過ぎない。自分で納得できる結果が得られるよう頑張ってほしい。私たちもこれまで以上にしっかり応援する」。そう親心をにじませた。【奥田伸一】
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