2度も悪癖のぞくも3敗死守 取り直しの末に辛勝の大の里

2025/07/24 20:54 

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 ◇大相撲名古屋場所12日目(24日・IGアリーナ)

 ◇○大の里 押し出し 一山本●

 取組後、支度部屋へ引き揚げる表情は対照的だった。敗れた一山本は「2度目の、引かせたけどなあ」と充実感を漂わせた。勝ったはずの大の里は、バツの悪い神妙な顔だ。

 1番目の立ち合い。大の里は一山本の当たりを受けてまともに引いてしまい、そのまま前に出た一山本に軍配は上がった。ただ、物言いがつき、大の里の足が出るのと、一山本の体が落ちるのが同時として取り直しとなった。

 2番目も大の里は一山本に当たり負け、またも引いて俵に詰まった。そこから腰を落としてこらえながら、左でいなして一山本を後ろ向きに。すかさず押し込んで辛くも勝負を決めた。

 物言い後の勝負審判の協議は長引き、客席からは取り直しを求めるように手拍子が起きていた。高田川審判部長(元関脇・安芸乃島)は「(1番目は)一山本の勝ちか、取り直しか。大の里の勝ちはなかった」。大の里の取り口についても「1番目は悪い癖が出た。その残像が2番目も残ったのか」と思案顔だった。

 大の里自身も1番目は、勝っているという感覚は「全くなかった」。そして、目を閉じながら自らに言い聞かせるように、「しっかり残り3日間、集中して」と繰り返した。

 新横綱として「優勝というのを掲げすぎずにやっていきたい」と臨んだ今場所で、賜杯争いには何とか踏みとどまった。だが、安易な引きという悪癖を立て続けにのぞかせた。今後の横綱人生に不安を残しかねない苦い白星だった。【飯山太郎】

毎日新聞

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