フィギュア五輪予選が19日開幕 日本勢、五輪出場の条件は?

2025/09/18 10:30 

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 ミラノ・コルティナ冬季オリンピックのフィギュアスケートの出場枠を懸けた予選が19日、中国・北京で開幕する。日本からはペアの「ゆなすみ」こと長岡柚奈選手、森口澄士選手組(木下アカデミー)、アイスダンスの「うたまさ」こと吉田唄菜選手、森田真沙也選手組(木下アカデミー)が出場する。狭き門をくぐり抜け、出場枠の獲得を目指す。【玉井滉大】

 ◇ゆなすみ、自己ベストは出場11組中トップ

 ミラノ五輪の個人種目は、男女シングル各29、ペア19、アイスダンス23の出場枠が割り当てられている。このうち、今年3月に米ボストンで行われた世界選手権の結果により、男女シングル各24、ペア16、アイスダンス19の枠の配分が決まった。

 各種目、1カ国・地域につき最大「3」の出場枠を獲得できる。日本は世界選手権で2位に入った女子の坂本花織選手(シスメックス)や、男子3位の鍵山優真選手(オリエンタルバイオ・中京大)、ペアで優勝した「りくりゅう」こと三浦璃来選手・木原龍一選手組(木下グループ)らの活躍で、男女シングルは最大の「3」、ペアは「1」の出場枠を既に手にしている。

 今回の五輪予選は、残る男女シングルの各5、ペア3、アイスダンス4の出場枠を懸けた争いだ。各種目とも、上位に入った選手の所属する国・地域に出場枠が割り当てられる。

 五輪予選でペアの「2枠目」獲得に挑戦するゆなすみは、初出場した3月の世界選手権で悔しい思いをした。

 ショートプログラム(SP)では3回転ツイストリフトに挑戦。だが、着氷時に長岡選手が転倒するミスが出るなどして51・10点にとどまり、出場23組中22位。フリーに進出できる上位20組に入れなかった。りくりゅうが優勝したことで、フリーに進んでさえいれば五輪の「2枠目」を確保できた。

 今オフはコーチを変更して練習を積み重ねると、9月上旬のチャレンジャー・シリーズ(CS)木下グループ杯ではSP(66・27点)、フリー(126・50点)とも自己ベストを大きく更新。総合でも従来の自己ベストを18点近く上回る192・77点をマークし、3位に入った。ひと回り成長した姿を披露し、2人は自信を深めている。

 ペアは五輪予選で割り振られる3枠に対し、11組が出場を予定する。国際スケート連盟(ISU)公認の自己ベストの点数で比較すると、ゆなすみが出場予定11組の中でトップに立っている。

 だが、8月の国際大会でISU非公認ながら190・23点を記録した中国ペアに加え、米国やフランス、北朝鮮のペアにも力がある。上位のペアに実力差はなく、決して楽な戦いではないが、力通りの演技ができれば「2枠目」は手の届くところにある。長岡選手は「枠をつかみ取れるような練習を積んで、本番、自信を持って挑んでいきたい」と語っている。

 ◇うたまさ、4枠を19組で争う激戦

 うたまさも3月の世界選手権に初出場したが、リズムダンス(RD)は67・69点で36組中22位。上位20組で争うフリーには進めず、ミラノ五輪の出場枠も獲得できなかった。

 昨季の終了後は5月からカナダに渡り、木下グループ杯までの約4カ月間、2010年バンクーバー大会、18年平昌大会の五輪2大会で金メダルを獲得したスコット・モイヤーさんらの指導を仰ぎ、練習を重ねてきた。

 ところが、木下グループ杯ではRD62・81点、フリー98・25点、合計161・06点で出場8組中6位。自己ベスト(171・59点)からは10点以上低かった。吉田選手は「レベルが取れていなかったのも映像で確認できたし、強みのスピード感もあまり出せていなかった。表現力もまだ足りない。そこをしっかり強化していけば、トップとの差は埋まってくる」と冷静に課題を分析していた。

 今回の五輪予選、アイスダンスは「4」の出場枠を19組で争う激戦だ。リトアニアと中国のカップルはそれぞれ200点前後の自己ベストを持ち、頭一つ抜けている。ボーダーライン上にはうたまさも含め、170~180点前後の自己ベストを持つカップルが並んでいる。

 厳しい戦いが予想されるが、森田選手は「どうすれば少しでも点数が上がるのか、キャシー(・リード)先生やスコット先生らコーチ陣とも、2人でもちゃんと話して、自分たちの満足のいく結果を得たい」と意気込んでいる。

 ◇日本代表は全日本選手権で

 五輪予選を終えると、個人種目の出場枠が確定する。日本のミラノ五輪の出場選手は、12月に東京・代々木第1体育館で開かれる全日本選手権や、今季のグランプリ(GP)ファイナルなどの結果を元に決まる。

 今回の五輪予選で枠取りが懸かるペアとアイスダンスは、全日本選手権の成績や世界ランキングなどから総合的に判断して代表を選出する方針だ。

 また、ミラノ五輪では団体戦も実施される。主要国際大会での成績などを基に上位10カ国・地域が出場する。出場する国・地域は、12月のGPファイナル後に確定する。団体戦の出場が決まれば、アイスダンスは個人の出場枠を獲得できなくても出場できる。

毎日新聞

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