◇○ソフトバンク２―１日本ハム●（１５日・みずほペイペイドーム）

　ソフトバンクの殊勲者は「打った瞬間は三ゴロかなと」と首をひねった。山川穂高が延長十回に放ったサヨナラ打の場面だ。さらにこう言葉を続けた。「バットを思いっきり振ろうと。それがヒットにつながったと思います」。数々のサヨナラ打を放ってきたベテランがシンプルな思考で勝利をもたらした。

　ソフトバンクは七回に先制したが、八回に日本ハムのレイエスに右中間スタンドへ同点弾を許した。その当たりをベンチで見た山川は、打球の軌道や速度に「とんでもないホームラン」とベンチで驚きつつも、しっかりバットを振り切る大切さを再認識させられた。

　延長十回。山川は１死満塁の好機で打席に入った。日本ハムは投手を玉井大翔にスイッチしたが、山川は初球の外寄りに来たカットボールをとらえた。

　ソフトバンクは２年連続のクライマックスシリーズ（ＣＳ）ファイナルステージ。今季最後まで優勝を争った日本ハムの新庄剛志監督は「去年より両チームの差は縮まっている」と言うが、大事な初戦を勝ち切った。

　「シーズン中なら満足しないヒットだが、このシリーズは勝ちが必要なのでそこは気にしない」。昨季のＣＳで最優秀選手に選ばれた山川の言葉には説得力があった。【林大樹】