◇プロ野球・ドラフト会議（２３日）

　◇王子　九谷瑠投手（２５）＝楽天６位

　今夏の社会人野球都市対抗大会で優勝し、橋戸賞（最優秀選手賞）に輝いた王子の九谷瑠投手が楽天から６位指名を受けた。

　クラブチームから今季移籍し、１年目で都市対抗の優勝投手となった。社会人野球最高の栄誉である橋戸賞まで獲得してシンデレラストーリーを作り上げた右腕は、プロの夢までかなえた。

　滋賀・堅田高、大阪大谷大を経て、昨季までの３年間は名古屋市を本拠地とするクラブチーム「矢場とんブースターズ」でプレーした。在籍中は名古屋の名物であるみそカツ専門店「矢場とん」のホールスタッフとして働いていた。

　当時は土、日、月曜日は朝から晩まで丸一日働き、平日は午前中に練習した後、夕方４時から勤務。午後１０時に閉店後、個人で契約しているフィットネスクラブでトレーニングに励んだ。寝るのは日付が変わった午前１～２時ごろ。翌朝は午前６時に起床し、午前練習に向かう日々を続けていた。

　ハードな日々を支えたのは「プロの世界へ行きたい」という夢だった。そんな中で昨年オフに誘われたのが社会人の企業チーム、王子だった。

　移籍１年目の今季、１５０キロ超の速球に多彩な変化球を操り、先発・救援とフル回転でチームを支えた。自身初舞台となった都市対抗では２試合に先発し、ＪＦＥ東日本との準々決勝では８回１失点と好投。決勝でも六回から救援して無失点に抑え、マウンド上で優勝の歓喜を味わった。【円谷美晶】