高橋まつりさん母「従業員はやれませんと言えない」 残業規制緩和に

2025/10/23 23:12 

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 高市早苗首相が労働時間規制の緩和を検討するよう上野賢一郎厚生労働相に指示したことを受けて、過労死や過労自殺で家族を亡くした遺族が23日、立憲民主党の部会で意見陳述し「立場の弱い労働者を守ってほしい」と訴えた。

 高市首相は21日の就任直後、上野厚労相あての指示書に「心身の健康維持と従業者の選択を前提にした労働時間規制の緩和の検討」と盛り込んだ。これを受けて、働き方改革関連法の一環で導入された時間外労働の罰則付き上限規制が緩和されるのではとの懸念が高まっている。

 2015年に電通社員だった高橋まつりさん(当時24歳)を過労自殺で亡くした母の幸美さんは、指示書の「従業者の選択を前提に」との文言について「会社や上司にやれるかと聞かれたら、従業員はやれませんとは言えない」と指摘。「新入社員だった娘は、働いて働いて働いて命を落とした。長時間労働は働く人の健康も命も奪う。大切な子どもたちが危険にさらされる職場を作らないでほしい」と訴えた。

 「全国過労死を考える家族の会」の寺西笑子代表も「過労死に関する相談は今も後を絶たない。立場の弱い労働者を守れるのは国と法律だ。緩和の流れを阻止してほしい」と訴えた。

 厚労省によると、業務の過重な負荷や心理的負担による24年度の労災認定件数は1304件(前年度比196件増)。このうち自殺を含む死亡に至ったのは152件(同21件増)だった。【塩田彩】

毎日新聞

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