4失点降板の王子・九谷 これからプロへ「お手本に」 日本選手権

2025/11/08 17:22 

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 ◇第50回社会人野球日本選手権2回戦(8日・京セラドーム大阪)

 ◇○NTT東日本6―1王子●

 ◇九谷瑠(くたに・りゅう)投手=王子・26歳

 制球力が特長の右腕にとって、痛恨の一球だった。

 1―3の四回2死二塁、カウント1ボール2ストライク。王子の九谷瑠が投じた147キロの直球は外角高めに浮いた。NTT東日本の8番・伊東光亮に中越えの適時三塁打とされ、4点目を失った。この回限りで降板し、「思っていた球が投げられなかった」と悔やんだ。

 シンデレラストーリーを地で行く社会人4年目だ。滋賀・堅田高では甲子園出場はかなわず、大阪大谷大では近畿学生リーグ2部でプレー。みそカツ専門店を展開する「矢場とん」(名古屋市)に入社し、店舗スタッフをしながらクラブチーム「矢場とんブースターズ」で白球を追った。

 「プロの世界へ行きたい」と高い志を持ち続け、睡眠時間を削ってでも野球に打ち込んだ。チームでの活躍を認められ、今年1月に王子に異例の中途入社。エースとして都市対抗大会で頂点に立ち、最優秀選手に贈られる橋戸賞を獲得した。

 プロ野球・楽天からドラフト6位指名を受け、夢の扉を開いた。「クラブチーム出身だからといって、プロになれないわけじゃない。自分のような選手が増えるように、お手本となれるようにやっていきたい」。人生は紙一重で変わる。これからは、憧れの舞台で物語を描き続けていく。【石川裕士】

毎日新聞

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