追悼ヘルメットのウクライナ選手、失格に IOCを仲裁裁判所に提訴へ
国際オリンピック委員会(IOC)は12日、ミラノ・コルティナ冬季オリンピックのスケルトン男子のウクライナ代表、ウラジスラフ・ヘラスケビッチ選手(27)を失格処分とした。IOCが使用を禁止した、同胞を追悼するためのヘルメットを12日のレースで着用しようとしたため。ヘラスケビッチ選手側は反発し、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴する意向を示した。
このヘルメットには、ロシアによる侵攻で犠牲になったアスリートたちの肖像画が描かれている。レース直前の12日朝、IOCのコベントリー会長がヘラスケビッチ選手と面会し、使わないよう説得を試みたが、折り合わなかった。
ロイター通信によると、ヘラスケビッチ選手は失格処分後、「この決定(失格処分)はロシアの主張に沿うものだと会長に伝えた」と話した。またインスタグラムに、追悼ヘルメットをかぶった自身の写真と共に「これが私たちの尊厳の対価だ」との一文を投稿した。
ヘラスケビッチ選手は追悼ヘルメットを9日からの公式練習で使用。IOCは「五輪の会場におけるデモや政治的、宗教的、人種的な宣伝活動」を禁じる五輪憲章に違反しているなどとして使用禁止を発表し、ヘラスケビッチ選手側に通知した。
IOCは失格を回避するための代替案として、レース中は黒い腕章やリボンを着け、追悼ヘルメットはレース後の取材対応時に掲げることなどを提案したが、ヘラスケビッチ選手は受け入れなかった。
ヘラスケビッチ選手やウクライナ五輪委員会は「(追悼ヘルメットは)政治的スローガンや差別的要素は含んでおらず、IOCの規則を順守している」などと主張し、使用を認めるようIOCに要請していた。
また、ヘラスケビッチ選手はインスタグラムで、今大会の開会式でイスラエルのスケルトン選手が、1972年のミュンヘン五輪でテロリストに殺害されたイスラエル選手らの名前を記したキッパ(ユダヤ教徒の小さい帽子)をかぶって入場したと説明。IOCの決定を「二重基準」と批判していた。
開会式で旗手を務めたヘラスケビッチ選手は、これまでもロシアを公然と非難し、ロシアの選手が「個人の中立選手」(AIN)として五輪出場を認められていることにも強く反発してきた。
ロシアが全面侵攻を開始する直前だった2022年2月の北京冬季五輪では、滑走後に「ウクライナでの戦争はやめて」とのメッセージを掲げた。【ミラノ福永方人】
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