「古式ゆかしき献上スタイル」 日米関税協議、企業はどうみた?
いよいよ始まったトランプ米政権の関税措置を巡る日米協議。だが初回は具体的な中身に踏み込まなかったとみられ、着地点は見えない。企業や市場関係者は協議の行方を注視する。
「かつての日米貿易摩擦のような1対1の単純な構図ではない。一筋縄には解決しないだろう」。ある自動車大手関係者は17日、日米協議入りを受けてこう話し、長期戦を覚悟した。
赤沢亮正経済再生担当相は米政権側に自動車や鉄・アルミニウムへの追加関税を含む一連の措置の見直しを「強く申し入れた」というが、この関係者は「予断を許さない状況に変わりはない」と冷ややかだ。
トランプ政権は今回、全世界を相手に「相互関税」を発動した。米国債が投げ売りされるなど金融市場が動揺し、相互関税のうち一律10%分を除く上乗せ分について90日間停止したが、輸入車への25%の追加関税は発動されたまま。トランプ大統領は日本の自動車各社が生産拠点を構えるメキシコやカナダからの輸入車・部品の追加関税について見直しを示唆しているものの、具体策に言及はない。
鉄・アルミに25%の追加関税を課されている鉄鋼業界も先行きに気をもむ。日本から米国へ輸出する鋼材の量は限られるが、対米輸出額で首位の自動車に対する追加関税は鋼材を納めるメーカーにとって痛手だ。鉄鋼業界では「自動車の生産台数が減れば業績への影響は必至。自社努力で何とかできるものではない」と不安の声が漏れた。
円安・ドル高の為替問題も懸念材料だ。今回の協議では議題に上らなかった模様だが、トランプ政権が問題視する限り、いつ是正を迫られても不思議はない。
既に物流業界では米国向けの輸出量が減り始めているといい、ある金融機関大手首脳は「1ドル=120~130円まで円高・ドル安が進めば輸出事業を諦めるという顧客企業もいる。トランプ関税のような予見できないことが起きれば、企業もリスクを取らなくなる」と憂慮する。
野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは「円高による輸出企業・製造業への悪影響が出てくると、一時140円程度になった昨夏よりも打撃が大きくなる恐れがある。関税引き上げ後の実際の景気へのインパクトがどうなるかが今後の焦点だ」と指摘する。
産業界には「このままでは米国経済も疲弊する。来年の米中間選挙も考慮すると、向こう半年くらいに何らかの変化があるのでは」(自動車メーカー関係者)、「トランプ氏には絶対に意図するポイントがある。そこをどう探るかだ」(別のメーカー幹部)と期待を込める向きもある。
ただ、今回の協議に急きょ同席を表明したトランプ氏に対し自らを「格下も格下」と表現した赤沢氏の姿勢には、企業や財界のトップから案じる声も上がる。ローソンの竹増貞信社長は17日の決算記者会見で「右往左往せずに、どっしり構えてやっていただけたら」と励ましつつも「古式ゆかしい、献上スタイル。日本的だな」と述べた。
日本商工会議所の小林健会頭(三菱商事相談役)は大阪市内であった会見で、米政権による関税率の算出手法を著名経済学者らが酷評していることを念頭に「(日本政府は)どうして追及しないのか。事実か分からないようなことをベースにするのは国と国とのレベルでやることではない」と批判した。【鶴見泰寿、鴨田玲奈、新宮達、秋丸生帆、山口智】
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