セブン&アイHD株主総会 創業家出身の会長ら新経営陣を承認
カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けているセブン&アイ・ホールディングスは27日、東京都内の本社で定時株主総会を開いた。スティーブン・ヘイズ・デイカス新社長(64)ら13人の取締役選任など7議案すべてが承認された。井阪隆一前社長(67)が退任し、創業家出身の伊藤順朗副社長(66)が会長に就いた。新体制が発足し、日米のコンビニエンスストア事業を軸とした成長戦略の策定を本格化する。
今回の株主総会には、前年よりも549人多い887人の株主が参加。経営方針に反対する株主提案はなく、いずれも会社提案が可決された。社外取締役には新たに、伊藤氏と関係の深いファミリーマート元社長の沢田貴司氏(67)や百貨店「松屋」の秋田正紀会長(66)らが選任された。
株主からの質疑では、2025年2月期の業績不振をただされた井阪氏が「ふがいない。改めて謝罪を申し上げたい」と述べた。
セブン&アイは現在、カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けており、自社単独での経営路線と並行して特別委員会を中心に議論を進めている。
セブン&アイは単独での成長を目指すなかでコンビニ事業に注力し、傘下のスーパー、イトーヨーカ堂などを束ねる中間持ち株会社の売却手続きを進めてきた。
井阪氏は、クシュタールの買収による米事業での競争阻害の懸念について「非常に大きなポイント。(認定されると)統合契約を結んだ場合、私どもの自社の投資が滞ってしまい、結果としてセブン&アイの企業価値、株主価値は危機にさらされる」と強調。「客観的にジャッジし、何がふさわしいかを中心に議論してもらっている。保身のためでなく、株主にとってセブン&アイがどうあるべきか、極めて透明で中立的だ」と理解を求めた。
また、新社長となったデイカス氏は「(セブン&アイは)これから先、もっと伸びる可能性を秘めている会社。今までの10年よりも、さらに成長できる10年にしたい。全力を挙げて実現していきたい」と述べ、コンビニ事業の強化に自信を示した。
株主からは新経営陣への期待の声が上がった一方、クシュタールの買収提案については賛否が分かれた。
新経営陣の選任に賛成したという男性株主は「従来のしがらみにとらわれず、新しい感覚でやってもらいたい。日本の企業だから(クシュタールに)買収されてほしくない」と話した。その一方、「今は株価が低迷している。それが客観的な評価の結果。自分たちの適正な価値をしっかりと見極めてもらいたい」と堅実な経営を求めた。
株主を10年以上続けているという女性は、新経営陣に「印象は良かったが、そこまで強いエネルギーを感じなかった」と指摘。「個人的には買収を受け入れてもいいと思う。グローバル化しないと差別化できない。商品のクオリティーを貫いてほしい」と注文した。
一方、株主で加盟店オーナーを務める男性は、コンビニの24時間営業やそれに伴う人手不足など現場の課題を挙げた上で「(セブン&アイは)無理を重ねて大きくなってきた。『日本一の小売業』だと自負があるから、なかなか変われなかった。このままだとオーナーの成り手がどんどん減る」と警鐘を鳴らした。男性は「いっそのことクシュタールに買われた方が良い。国際的な知見を取り入れるべきだ。働き方も変わっていくと思うし、今の日本ではコンビニが優勢を誇っているけれど、果たしてそれが正しいのかどうなのか考えてほしい」と話した。【佐久間一輝、鴨田玲奈】
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