米農家は「適正価格とは思えない」と困惑 備蓄米2000円台放出に
政府備蓄米を2000円台で店頭に並べると宣言した小泉進次郎農相は、狙いについて「農家の皆さんが大変不安に思っている国産米離れを防ぐため」と強調する。農家はどのように受け止めているのか。穀倉地帯が広がる佐賀市内で家族で農業法人を営む50代の女性が米農家の厳しい実情を語った。【聞き手・平川昌範】
――経営状況を教えてください。
◆法人化して農地の大規模化を進めています。コメはブランド化してインターネットによる直販もしています。ただ、稲作には大型機械が欠かせません。トラクター、田植え機、コンバイン、最低この三つが必要です。大型コンバインは1500万~2000万円です。導入のために融資してもらっていますが、返しても返しても借金。自転車操業でした。
大規模化すると、もうかっているように見えるかもしれませんが、内実は違います。機械も肥料もすべて値上がりしています。一方でこれまで米価はずっと低くて、赤字続きでカツカツの状況でした。「どうやったら息子たちが将来に向けて頑張れる状況にできるだろうか」と、頭を抱えていたところに米価が上がり始めました。
――これまでの米価が安すぎたということですか。
◆私たち家族では「やっと一息つけたね」と話していました。法人化したものの、あまりにも経営が不安定だったので、やっと息子たちの給料やボーナスを上げられると思いました。そうしたら、「高い」「高い」と言われ始めました。
比較的高かったはずのうちのコメはむしろ安い方になり、インターネットでは対応できないほど多くの注文をいただきましたが、これまで高くても買い続けてくれたお客さんを対象に値上げせず販売しています。
――政府の取り組みをどう感じていますか。
◆政府は備蓄米によって値下がりすることを期待させていますが、今年収穫予定の新米はすでに奪い合いが始まっています。それに店頭で5キロ2000円台というのは私たちにとって適正価格とはとても思えません。消費者も納得して、私たちにももうけが残る適正価格っていくらだろうかと家族でよく話しています。
政府はあまりにも消費者の方ばかりを向いているように感じます。これから田植えの時期ですが、ある程度の価格でないと、農家が意欲を保つのは難しいと思います。消費者と生産者が違う方向を向いてしまっているようで残念です。
-
豊田織機、トヨタグループによる買収提案受け入れ 株式非公開化へ
トヨタ自動車の源流企業に当たる豊田自動織機は3日、トヨタグループによる買収提案を受け入れると発表した。トヨタとグループ各社のトヨタ不動産、トヨタの豊田章男会長…経済 4時間前 毎日新聞
-
備蓄米、ファミマとローソンでも店頭販売へ 今週にも 随意契約締結
小泉進次郎農相は3日夕、記者団に、中小小売業者を対象にした随意契約による政府備蓄米の売り渡しで、購入の申請があったコンビニエンスストア大手のファミリーマートと…経済 4時間前 毎日新聞
-
ローソン、備蓄米を販売へ 古米使った「ヴィンテージ米おにぎり」も
ローソンは3日、随意契約で申請している2021年産の備蓄米について、2キロ700円(税抜き)と1キロ360円(同)の小容量パックで販売すると発表した。準備が整…経済 9時間前 毎日新聞
-
入札の割高な備蓄米、買い戻しも 小泉農相「随契で安値放出」
小泉進次郎農相は3日の閣議後記者会見で、一般競争入札で売り渡した政府備蓄米について、買い取った業者側から返還の申し出があれば買い戻し、随意契約により安値で放出…経済 9時間前 毎日新聞
-
高校生以下にコメ5キロを現物支給へ 京都・亀岡市、6月中旬から
京都府亀岡市は2日、昨秋収穫された国産米70トンを確保し、7月に市内の高校3年までの子ども全員に1人5キロずつ現物支給すると発表した。コメの価格が高騰しスーパ…経済 2025年6月2日 毎日新聞