骨太の方針、原案公表 トランプ関税「万全講じる」、減税論けん制も

2025/06/06 17:45 

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 政府は6日、経済財政諮問会議を開き、今後の経済財政運営の指針となる「骨太の方針」の原案を公表した。トランプ米政権の関税政策が国内経済を下振れさせるリスクだとし、「あらゆる事態を想定して万全の措置を講ずる」と示す方向で調整している。また「減税より賃上げ」と明記し、野党が物価高対策として求める消費税減税論をけん制。経済の拡大によって、賃金や所得が継続的に増加する「賃上げを起点とした成長型経済」の実現を掲げた。

 骨太の方針は、政権の重要課題や来年度予算案の方向性を示すもの。石破茂政権として初となる骨太の方針の原案では、トランプ関税と長引く物価高を当面のリスクに挙げ、「備え・対応に万全を期す」とした。関税については国内産業・経済への影響が生じる場合の追加対策などに含みを持たせた。

 一方で、関税措置などを念頭に「外的環境の変化に強い経済構造を構築」する重要性についても言及。国内投資の拡大やサプライチェーン(供給網)の強じん化のほか、対日直接投資残高を2030年に120兆円に伸ばす目標を新たに掲げた。

 食料品を中心とした物価高への対応としては、24年度補正予算や25年度予算に計上した、低所得者層向けの給付金やガソリン補助金、7月から再開する電気・ガス補助金など「施策を総動員し、国民生活・事業活動を守り抜く」と記す方向で調整している。

 コメについては「急激に上昇した米価格を落ち着かせ、消費者への米の安定的な供給を確保する」とし、政府備蓄米の流通円滑化などに取り組むとした。また、コメの生産力向上のため、水田政策や農地集約化支援に関する既存制度の見直しを進める方針を盛り込んだ。

 財政の健全度を測る指標である国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の黒字化目標は、現行の25年度から「25年度から26年度を通じて、可能な限り早期」と後ろ倒しにした。内閣府は1月に示した試算で、24年度補正予算の執行の一部がずれ込む影響で25年度にPBは4・5兆円程度の赤字になるとしていた。

 骨太の方針は与党との調整を経て、13日にも閣議決定される。【高田奈実】

毎日新聞

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