韓国発マンガ『入学傭兵』はなぜ日本で人気?「アニメ、マンガの国」からの反響に作者も感動

2025/02/13 08:40 

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(左から)『入学傭兵』作画のrakhyun氏、原作のYC氏(C)YC・rak hyun/LINE Digital Frontier

 2年連続でLINEマンガ年間ランキング1位を獲得し、2023年にはwebtoon作品でLINEマンガ初となる年間販売金額10億円を突破するなど、とどまるところを知らない人気を誇るwebtoon『入学傭兵』。2月7日からは、LINEFRIENDS SQUARE SHIBUYAにて、ポップアップストアが期間限定でオープンし、多くのファンでにぎわっている。そんな本作の原作者であるYC氏と、作画担当のrakhyun氏が緊急来日。ストアオープンの感想や、影響を受けた日本のマンガやアニメ、さらにはwebtoonの未来などを語り合った。

【画像】これはカッコイイ!人気キャラの色紙にサイン

■日本のアニメやマンガを見て育った作者、「より共感してもらえるのかな」

――『入学傭兵』のポップアップストアが渋谷にオープンしましたが、来店されてどんな感想を持ちましたか?

【YC】 1人の作家として、ポップアップストアが開催できるということだけでも光栄ですし、感動しています。しかも、アニメやマンガの国と言われている日本で、読者の皆さんに大きな愛をもらってこうしたチャンスが得られたことに感謝しています。

【rakhyun】 一生忘れることができないほど素敵な思い出になると思います。これから先、何かつらいことがあっても、この経験を思い出して力を得たいと思います。

――『入学傭兵』は、日本でも「LINEマンガ 年間ランキング」で2023年、2024年と2年連続で1位を獲得するなど大人気です。反響は届いていますか?

【YC】 このショップに足を運んだだけでも、反響はすごく感じています。

【rakhyun】 これまで日本での反響というのはあまり実感できていなかったのですが、この場に来て、とても愛していただけているんだなと感じました。

――日本でこれだけ人気になっている秘訣はどう考えていますか?

【YC】 まず私自身が作品を制作するとき、一読者として面白いと自信が持てるものを作りたいと思っています。日本での人気の理由は、はっきりとつかめていないのですが、西洋の国より、韓国と日本は似た文化を持っていると感じているので、共感していただける部分が多いのだと思います。私自身、日本のアニメやマンガを見て育ってきていますし、その意味で日本の読者の皆さんにより共感してもらえるのかなと思います。

【rakhyun】 私も日本だから、という部分は分かりませんが、この作品はミリタリーというテーマと、学園ものというテーマの2つが重なり合っていることが、注目していただいている要素の一つなのかなと感じています。

――YC先生は日本のアニメやマンガを見て育ったと仰っていましたが、どんな作品に影響を受けたのでしょうか?

【YC】 かなり多くの日本の作品に触れており、どれも素晴らしいと思っています。なかでも、あだち充先生の作品は大好きです。特にストーリーテリングの部分で、いつもあだち先生のような作品を作ることを夢見ています。それから、『DRAGON BALL 』(集英社)も大好きな作品です。

【rakhyun】 私もたくさんの日本のアニメやマンガを見て育ちました。特に印象に残っているのは、『鋼の錬金術師』(スクウェア・エニックス)です。何度も読み返していますし、いつも力をもらっています。こんな素晴らしい作品を描いてくださった荒川弘先生には、本当に感謝しています。

――最近は日本の作家のwebtoonも増えていますが、ご覧になったことは?

【rakhyun】 韓国で日本のプラットフォームに登録して読むことができないんですよね…。

【YC】 そうなんです。でも、日本から韓国に展開された作品は読んでいます。例えば『先輩はおとこのこ』(LINEマンガ)とか、『神血の救世主~0.00000001%を引き当て最強へ~』(Studio No.9)など、とても面白く読ませていただきました。

■クリエイターが見るwebtoonの今後は?『入学傭兵』の今後にも注目

――webtoon作品の制作に対して、こだわりはありますか?

【YC】 webtoonがより認知されたことにより、クリエイターの自由度はとても広がったと考えています。特に演出面において、すごく表現の幅が広がりました。紙のマンガと違って、電子コミックは1話ごとに読者の反応に応じて作品を作ることができると思っているので、しっかりと視野を広く持って作品に臨むことにこだわっています。

――韓国で大人気のwebtoonは、日本はもちろん、世界中に広がっています。

【YC】 ある意味で時代の流れなのかなと。スマートフォンが普及して、いつでもどこでも簡単にマンガを読むことができるようになったことで、webtoonはかなり成長してきたと思います。このトレンドは続くのではないでしょうか。

――『入学傭兵』は世界10ヵ国語で配信されるなど、グローバルな展開を見せていますが、今後どんなことを野望として掲げていますか?

【rakhyun】 まだ『入学傭兵』の連載は終わっていないので、最後の最後まで読者の方に喜ばれるような作品にしていきたいというのがいまの思いです。

【YC】 私も、最後まで読者の方に愛していただけるような作品にしたいというのが一番の思いです。個人的には、『入学傭兵』という作品は、ミリタリーものであり学園ものである、ということはベースにありつつ、本当に伝えたいと思っているのが“家族の愛”の大切さなんです。私も実際に家庭を持っている1人の父親として、家族が平穏に過ごすことが、どれだけ価値のあるものかということを伝えていきたいです。

 日本のファンとの対面に「がっかりされたらどうしよう」と緊張気味に語ったYC氏。会場では人気声優・斉藤壮馬が帯刀壮馬の声を担当した没入感たっぷりのスペシャル動画も公開されているが、YC氏、rakhyun氏ともに「本当に素晴らしい。(声が加わったことで)自分の作品ではないような、webtoonとはまた違った魅力に溢れています」と期待を煽っていた。

 『入学傭兵』のポップアップストアは、LINE FRIENDS SQUARE SHIBUYA(B1F)にて、2月7日から25日まで開催中(11:00~20:00)。声優・斉藤壮馬が帯刀壮馬の声を担当したスペシャル動画は、ポップアップストアの体験型空間メディアゾーンにて公開。さらに、LINEマンガ公式YouTubeでは、「『入学傭兵』公式PV CV:斉藤壮馬」を公開している。

(文:磯部正和)
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